厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

さんぽセンターへの相談をきっかけに「治療と仕事の両立支援」に取り組む

株式会社旭技研コンサルタント

代表取締役  田 英幸 様

会社名
株式会社旭技研コンサルタント
所在地
熊本県熊本市東区長嶺東2丁目26番6号
事業内容
専門・技術サービス業(測量業・建設コンサルタント業として、土木分野に関する調査・測量・設計・維持管理等が主な事業内容)
設立
1979年2月
従業員数
33名(2023年4月現在)
平均年齢
46歳 /男女比 男性8:女性2
産業保健スタッフ
1名(衛生推進者)

株式会社旭技研コンサルタントは1979年熊本県本渡市に設立以来、「良いものをつくる」という企業理念のもと、測量・設計コンサルタントとして社会基盤づくりに取り組んできました。「ここに道路があれば便利だな」「ここに橋があれば向こう岸に渡れるのにな」などといった思いを国や県・市町村と協力し実現させるために、日々アイデアと技術をもって設計を行っています。近年の激甚化・頻発化する自然災害に対しては、地域の人々が安全で安心して暮らせる社会を創り出していかなければなりません。これからも地域社会の暮らしを守ることのできる企業であるべく、「良いものをつくる」を第一に全社一丸となって地域社会の発展に貢献し、ともに成長することを目指していきます。

治療と仕事の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

私が代表取締役に就任した1年後(2020年)に職場内でメンタルヘルス不調者が出ました。当時は社員20数名で職場内に産業医もおらず、就業規則等も設立時に作成されたまま相談窓口も決められていませんでした。頼みの綱はインターネットで検索という状況の中、熊本県産業保健総合支援センターへ初めて相談をしました。その時、保健師の方に不安でどうしようもなかった私の話を親身になって聞いてもらい、企業に寄り添った丁寧なアドバイスを受けたことで、社員の健康と自分自身そして会社を守るためには、社員に寄り添い丁寧に向き合うことが必要だと感じました。経営理念の一つである「社員の働きがいとその家族の幸せを実現し、社員が誇りに思える会社を目指す」はこのことがきっかけで掲げた理念になります。

従業員の両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものがあればお聞かせください。

【健康経営のスタート】
2021年7月より社員の健康によって健全な経営が成り立つという考えのもと「健康経営に向けた取組」を全体周知するとともに積極的な活動を開始しました。健康経営の宣言とともに「社員の健康課題(気になる・知りたい知識)の把握(アンケート)」、「職場内健康増進として日々のストレッチの導入と継続実施」、「社員アンケートに基づく外部講師による健康セミナー」を実施しました。
【旭安衛委員会の設置】
2022年4月より職場環境の更なる改善を目標に「関係労働者の意見を聴く委員会(通称、「旭安衛委員会」)」を設置しました。ここでは健康経営に関する取組状況の全体共有、取組に関する改善策の協議、社員の意見や要望確認など、社員の意見を幅広く聴き、労使一体となって協議することでより快適な職場環境と柔軟な働き方を目指して取り組んでいます。
【メンタルヘルス対策の取組み】
2023年5月より熊本県産業保健総合支援センターの協力を得ながらメンタルヘルス対策へ積極的に取り組むことを表明し、「こころの健康づくり計画」の策定、社員へのメンタルヘルス教育、管理監督者への教育を実施しています。今後も継続した教育を実施するとともに、職場復帰支援の進め方等についても社内体制を構築する予定です。
【治療と仕事の両立支援】
今後さらに、社員と情報共有を図りながら社員のニーズに合わせた「治療と仕事の両立支援」に取り組む予定です。

両立支援を行うための仕組みや支援者・支援制度をお聞かせください。

■相談窓口
各営業所の部長・所長や社長および衛生推進者を相談窓口としています。
事案発生時には最終的には社長が管理監督者および本人と協議して初期対応を決定しています。
■休暇制度
介護・病気休暇(有給休暇の更新時消滅分等を10日間まで積み立て、残有給休暇が0日以降で該当時に利用できる休暇)
■勤務制度
・時短勤務(勤務時間等は社員の状況・希望に応じて要相談)
・テレワーク(在宅勤務)
■個人情報の保護
本人の許可を得て医師と社長で状況の共有しています。

貴事業場の治療と仕事の両立支援の具体的事例(実例・実績)をお聞かせください。

■心疾患で手術した従業員の事例
健康診断で所見があったため再検査を会社から指導、その後の再検査で当該心疾患が判明しました。傷病休暇を利用して入院・手術し、退院後は半日勤務等で様子を見ながら職場復帰(時短勤務の活用)しました。有給休暇を利用して通院しながら職務を続けています。会社は本人の許可を得て、主治医の先生と情報共有を図り、病状等を把握しています。

社外資源の活用状況についてお聞かせください。

熊本産業保健総合支援センターにご相談させていただいています。
・不調者に対する事前相談、不調者の通院先等に関する相談
・健康相談、医師の意見聴取、長時間労働者への面接指導など
・各種健康の実施や両立支援セミナーへの参加
・メンタルヘルス対策(こころの健康づくり計画の策定、メンタルヘルス教育研修)
今後は職場復帰支援の進め方など「治療と仕事の両立支援」に関して相談していきたいと思います。

その他特記事項(研修等による意識啓発・労使の協力等)がありましたらお聞かせください。

■健康増進応援手当
2022年4月より健康経営の柱の一つとして、積極的に健康増進を目指す社員を応援するための手当として、「健康増進応援手当」を新設しました。内容は、年間5万円を上限に、社員およびその家族がジムの月謝や運動シューズ、自転車購入から人間ドック費用など幅広い項目で利用でき、かつ健康増進が図れる手当です。「健康」に関する項目であれば基本的にはすべて利用可能としています。
■働き方改革に加えて、「働きがい改革」の実践
2023年4月より社員満足度と心理的安全性の向上を目指して、社員と社長の意見交換会(30分/ 回×3回/人)、社員の投票で決まる「旭技研大賞」(年間最優秀者)の創設、人事評価に「情意評価」を追加、社内情報の視える化(未公表項目の開示)、社内環境・福利厚生に関して社員意見の更なる傾聴などを開始しています。
■各種研修の実施
社内研修として、コンプライアンス研修から業務に直結する安全に関する研修、メンタルヘルス研修など毎年実施しています。

今後の展望・課題をお聞かせください。

社内に産業保健師と産業医を設置したいと考えています。現在は熊本産業保健総合支援センターに依頼して産業医面談等を行っていますが、社内に設置することでより一層社員に寄り添った支援が可能になると考えます。「気軽に安心して相談できる環境」を目指して体制を整備したいです。また、令和5年度の労使協定で先送りとなったフレックスタイム制を導入し、社員の裁量で柔軟に働ける環境を整備したいと思います。他にも様々な施策を検討していますが、すべてにおいて社員の協力は必要不可欠です。「社員の働きがいとその家族の幸せを実現し、社員が誇りに思える会社」を目指して、一歩ずつ確実に取り組んでいきたいです。

取組事例一覧