厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

健康経営の一環として「治療と仕事の両立支援」に取り組み、企業内看護師を設置

株式会社F・Cガード

総務部 看護師 堀口 奈緒美 様

会社名
株式会社F・Cガード
所在地
宮崎県宮崎市大塚町鵜ノ島392-1
事業内容
警備業(交通誘導警備、雑踏警備、施設警備)、安全資機材リース・レンタル業、防犯事業
設立
2015年6月
従業員数
360名(2024年1月現在)
平均年齢
49.8歳 /男女比 男性9:女性1
産業保健スタッフ
1名

2003年にF・Cコンサルタントとして測量事業を開始し、その後2006年に警備事業を開始、株式会社F・C 警備部として運営していましたが、他事業部の開始や警備部の営業所展開が進む中で組織のスリム化、業務効率向上を目的として2015年に株式会社F・Cガードを設立しました。交通誘導警備の他に高速道路交通規制や施設警備、安全資機材のレンタルなどのサービスを提供しています。
「お客様の喜びは当社の喜び!」という企業理念のもと、インフラ工事のワンストップサービスを提供できる企業として今後も地域に根差し、お客様のニーズを具現化できる企業でありたいと考えています。
2023年3月に健康経営優良法人認定を取得。健康経営の取組の一つとして企業内看護師の設置と従業員の健康管理を行っており、治療と仕事の両立支援対応も重要課題として取り組んでいます。

治療と仕事の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

以前から病気療養者が出た場合は体調に合わせた働き方を認めてきましたが、復帰に関しては明確なルール化はされておりませんでした。従業員の健康状態の把握と健康管理への意識向上は生産性の向上にもつながると考え、2022年より健康経営に取り組むことになりました。その際に従業員が大病を患い入院・手術をすることになり、そのことがきっかけで「治療と仕事の両立支援」に具体的に動き始めました。2023年より企業内看護師を常駐させ健康管理を開始して、本人と会社・医療機関との間を取り持ち、職場復帰支援プランを作成して対応していくことになりました。

両立支援を行うための仕組みや支援者・支援制度をお聞かせください。

健康管理の担当として、2023年1月より企業内看護師を常駐させ、健康面やメンタルヘルス等の相談窓口を設置しています。常駐の看護師が両立支援コーディネーターの研修を受講・修了し支援を行っています。健康診断結果の要精密検査・要治療に関しては再受診を促し報告書を提出します。また、現病歴にて治療中の従業員の健康状態の把握のため、現病治療中の定期受診や健康状態の報告書を提出してもらっています。休職中の従業員へは定期的に本人に連絡を取り、現状を確認しています。優先すべきは療養や治療に専念していただくことであると伝え、ご本人が職場復帰を希望された際は、個人面談を行い回復状況や生活状況・復帰後の希望等を伺って、主治医へ「復職可能」と明記した診断書兼意見書をもらい、職場復帰支援プランを作成します。その後、産業医との面談、復帰許可をいただいてからの現場復帰の流れになります。職場復帰支援プランは、心身の疲労や体力等を考慮して勤務時間や日数を段階的に増やしていき、主治医からいただいた診断書兼意見書にある「業務の内容について職場の配慮が望ましいこと」を取り入れて、職場復帰支援プランを作成します。その後は、期間を設けて健康状態や日々の様子を面談で確認し、その都度プランを変更して、臨機応変に対応しています。職場復帰に関して不明な点などがあれば、産業保健総合支援センターへ相談させていただいています。従業員の健康情報を取り扱う者の範囲を必要最低限の範囲としています。

貴事業場の治療と仕事の両立支援の具体的事例(実例・実績)をお聞かせください。

交通警備に長く携わる従業員が、大病を患い復職した事例があります。口内炎や話づらいなどの症状あり、地元の医療機関を受診しましたが精密検査が必要となりました。大学病院での精密検査で病名がわかり、外科的治療(手術)が施行されました。地元医療機関で放射線治療を行い、大学病院での外来フォローにて経過観察を行うことになりました。就労不可の期間は傷病手当を受給しながらの生活でしたが、傷病手当受給期間が18ヶ月のみということもあり、受給期間が終わる前から職場復帰に向けて動き始めました。企業内看護師が常駐してからは産業保健総合支援センターの保健師とともに対応していくことになりました。復帰前の面談で、本人は長年従事していた警備業務を希望されましたが、体調や業務内容を考慮して部署移動と転居(大学病院が近い地域へ)を促すことになりました。主治医より就業継続の可否(診断書兼意見書)をもらい、業務内容については意見書を配慮して職場復帰支援プランを作成し、産業医との面談で職場復帰が決まりました。その後は定期的な部署訪問にて面談を行い、健康状態の経過観察を行っています。

社外資源の活用状況についてお聞かせください。

2023年より企業内看護師が常駐となりましたが、職場復帰への対応の経験がなかったため、産業保健総合支援センターへ相談しています。産業保健総合支援センターには困ったときなど逐次相談させてもらっており、一緒に対応していただいたことは心強く感じ、今後の対処方法等についても勉強できています。

その他特記事項(研修等による意識啓発・労使の協力等)がありましたらお聞かせください。

従業員が健康面やメンタルヘルスでの相談をしやすいように、企業内看護師への直通フリーダイヤルを設定しています。
また、会社内で使用しているビジネスツールの「LINEWORKS」を利用して健康増進(健康関連・感染症等の注意喚起等)に関する情報を発信しています。月1回行われている会社全体の勉強会では健康意識向上のために、メンタルヘルスや健康経営に関してのテーマを掲げています。

両立支援に取り組まれたことによって生じた良い効果についてお聞かせください。

従業員が治療を理由に就業をあきらめることなく職場復帰できました。そして、企業内看護師が治療と仕事の両立支援に取り組むことで、治療中の従業員が相談しやすい環境となり、職場復帰の相談件数が増えました。従業員の健康意識の向上にも繋がっていると思います。

今後の展望・課題をお聞かせください。

健康診断結果の受け取り方はそれぞれで、悪くならないと自覚しない従業員が多いことが現実です。このことを踏まえても、今後は早期発見・早期治療の前の健康管理や病気予防の視点から、健康管理の意識を向上させ、相談したしやすい環境づくりと健康で長く働いていただけるように働きかける活動に力を入れていきたいです。

取組事例一覧