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治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

女性の活躍を支える風土や職場での柔軟な配慮で
治療と仕事の両立支援も運用しています

株式会社クレディセゾン

戦略人事部 人事企画課/キャリア開発室
上川 奈保

会社名
株式会社クレディセゾン
所在地
東京
事業内容
金融
従業員数
3,796名(2017年9月末現在)
産業保健スタッフ
7名

クレジットカード「セゾンカード」で知られるクレディセゾンは1951年に設立された。従業員数の8割近くを女性が占め、近年は海外事業、ファイナンス事業など事業の多角化にも力を入れている。

安心して相談できる体制の整備

従業員の健康管理は、戦略人事部キャリア開発室内に置かれている健康管理室が主導している。スタッフ数は、産業医1名、保健師2名を含む7名(兼務含む)。 全事業所で年に2回行われる産業医によるライン研修や新任マネジャー研修などを通じて、職場にメンタル疾患やそれ以外の病気やケガを抱えたメンバーがいた場合の対処法などの浸透を図っている。 「部下にメンタル不調が発生した場合など、上司に対応の知識やスキルがないと、自己流で間違った対応をして病状を悪化させてしまったり、 上司自身が不調になったり、ということもありえます。そういった事態を防ぐためにも、ラインケアの周知を行っており、健康管理室を活用してほしいと思っています」と上川奈保氏はいう。

健康管理室では、専用の電話番号とメールアドレスを用意し、広く相談を受け付けている。その内容は、就業配慮や職場改善の必要性がある場合や本人の承諾を得ない限り、産業医と保健師だけで共有され、安心して相談できる体制を整えている。 また、10年程前に作成し、その後改定を重ねているオリジナルの私傷病休職マニュアルをポータルサイトにて公開し、誰もが簡単にアクセスできるようにしている。 その内容は、休職までに必要な手続きや、休職中の給与等に関する情報、復職の目安や各種手続きなどだ。必要な情報がワンストップでわかるように配慮して作成された。



主治医によって治療のための休職が必要と判断された場合には、その対象者の上司、人事部、そして健康管理室がそれぞれの役割を果たしながら連携し、本人が安心して治療に専念できるようにしている。

一人ひとりの状況に合わせた、独自の復職プログラム

復職プログラムも独自のものを用意している。対象となるのは、メンタル疾患で休職したすべての人と、メンタル疾患以外の私傷病の治療、たとえばがん治療など身体疾患で1か月以上休職した人だ。 身体疾患で休職期間が一か月に満たない場合でも、就業配慮が必要な場合など希望や状況に応じて対応している。主治医から復職可能と判断され、復職を希望する場合にはまず所属部署へ連絡を入れる。 書類などを整えてから、産業医と面接をし、復職の可否の判断と、復職後の就業上の配慮事項を決定し、復職へとつなげる流れとなっている。 このプログラムの流れは、メンタル疾患、身体疾患で共通であるが、一人ひとりの状況に合わせて、スムーズな復職と自信を持って通常復帰に戻れるよう、フォロー期間、就業配慮内容等個別対応でサポートしている。

特に身体疾患以外の場合、主治医から復職可能と判断された人はほとんどが早急に、以前と同じ働き方での復職を希望するという。 「主治医の先生から『抗がん剤治療をしながらでも仕事はできる』と聞くと、休んでいる間のチームメンバーの負担をかけているので早く復職したい、と思う方も多くいらっしゃいます。 しかし、主治医の先生は仕事の内容や通勤時間などは把握されていないことが少なくありません。メンタル疾患も同じですが、無理をすることで体調を崩し、再休職に入ることは自信の喪失にもつながり、会社、本人にとってハッピーではありません。 ですから産業医は、はやる気持ちにブレーキをかけるという役割を果たすこともあります。事業場における治療と職業生活の両立のためのガイドラインにあるように、会社側から主治医の先生へ業務内容を伝える書類を工夫するなどの会社側の努力も必要だと実感しています」という

実際、主治医からは復職可能とされたが、産業医の判断で休職を延長した方からは、「焦って復職をしないで良かった」「急いでいたら再発していたかもしれない」といった社員の声が上がっているという。
復職後は、1か月ごとに面談を行い、そのつど、短時間勤務をするべきか、残業制限をかけるべきかなどを判断していく。2017年9月には在宅勤務が制度化され、今後はより柔軟なプログラムを組める体制が整った。



従業員の8割近くが女性ということもあり、同社では、出産休暇や育児休暇の取得は特別なことではなく、育児や介護で時間制約のある社員も全体の1割近くいる。そのため、休んでいる人、短時間で働いているメンバーがいれば、必要に応じて周囲がカバーするという風土はできあがっている。 しかし、治療を理由とした休職は多数ではないからか、“周囲に迷惑をかける”という負い目を持つ人が多いのが現状だ。 「今は、誰もが、様々な事情を抱えながら仕事をしていることが普通です。病気を理由に全員に、支援や配慮の申告を求めることはありませんが、必要な人が声を上げやすいよう、普段から密なコミュニケーションをとって、信頼関係を構築することが最も重要だと考えています。 会社は治療のために休む方、活躍するために配慮が必要な方をサポートしたいと思っていることを伝えていきたいです」と上川氏は話す。



同社では、復職プログラムなどの制度を必要とする人に適切に活用してもらうため、制度、運用、そして周囲からの配慮をセットとした展開を図っている。 また、同社にはすでに、がん治療を経て復職した従業員が複数名いる。復職プログラムの周知と活用促進につなげるためにも、そうした人の経験談の共有を積極的に進めている。

上川氏は「違った背景や価値観を持つメンバー同士の相互理解、正しい知識がなければ、安心して働くこと、配慮が必要なメンバーを支えることができません。 たとえばがん検診の受診は、長く健康に働くためには必要だとわかれば、もっと受診率は上がるでしょうし、メンタル、身体疾患ともに早い段階で気付ければ、早く治療に入れるので、復職も結果として早くなります。そのための啓蒙に一層力を入れていきたいと考えています」という。

クローズアップ

クレディセゾンの復職プログラムは、メンタル疾患をはじめ、私傷病の治療や、がん治療などで1か月以上休職した人も共通。しかし、画一的な対応を行っている訳ではなく、個別対応の部分が多く、一人ひとりに寄り添っている。


■□ 復職の目安14項目 □■

  • 主治医の指示どおり、通院できている。
  • 主治医の指示どおり、服薬できている。(自己判断で服薬をやめたり、量を減らしていない。)
  • 病状は十分に回復していると感じられる。
  • 不眠はない。(朝スッキリ起きられる。)
  • 働くことへの意欲は十分である。
  • 起床してから寝るまでの間の過ごし方は毎日規則正しい。
  • 昼間の眠気がない。
  • 本を読んだり、パソコンを操作しても集中力が続く。
  • 上記8.の後に、強い疲労感を感じない。
  • 街中での買い物や電車利用が普通にできる。
  • 自宅で行うこと(読書やPC操作)はある程度できる。
  • 外出して人と会うことが普通にできる。
  • 家族や身近な方が、「病状は回復している」と言っている。
  • 通常業務をこなせるだけの体力がある。
取組事例一覧