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両立支援の取組み事例

身体の負担を考慮しながら働ける「なんでもやる課」を設置。充実の治療補助制度で社員の負担を軽減身体の負担を考慮しながら働ける「なんでもやる課」を設置。充実の治療補助制度で社員の負担を軽減

 株式会社メンテックワールドは1961年10月、自動車工場の生産設備メンテナンス事業を柱として創業した。その後、環境保全を含めたトータルメンテナンスに発展し、粉塵抑制装置を製造・販売するエコソリュ―ション事業、スパイラルダクトなどの生産から施工まで一貫体制で行うエンジニアリング事業を展開する。

「前向きに治療に取り組めた理由は、仕事をしたいから」

 同社では、年齢や性別、国籍、障がいの有無などを問わず多様な人材の確保と管理職などへ登用するダイバシティ経営を推進する。また、健康経営を進め、定期健康診断で要検査となった社員には再検査を受診するよう促すほか、生活習慣に問題のある社員には協会けんぽの保健指導と個人面談を行っている。
 協会けんぽのヘルスケア通信簿で「当社は喫煙率が高いことが指摘されました。そこで、2015年から禁煙プロジェクトを実施し、全社一斉の禁煙デーを設けて禁煙に取り組んでいます。また、禁煙外来を受診する希望者には受診料の一部を補助するほか、禁煙達成者には金一封の表彰を行っています」と代表取締役の小松節子氏は健康経営の取組みの一端を説明する。

 同社が治療と仕事の両立支援に取り組むきっかけとなったのが、2009年に小松さん自身が乳がんを患ったことだ。「乳がんであることが分かったときは既にステージ3でした。社内会議に所属長と女性社員を集めて、私が乳がんであること、すぐに抗がん剤治療を始めることを告白したのです。そして、抗がん剤治療、放射線治療、ホルモン治療を受けながら、がんが再発しないように努めてきました」と自らの体験を話す。

 この経験から、健康経営の一環として、女性社員に加え男性社員の配偶者も対象に毎年、全額会社負担で乳がん検診を行い、早期発見・早期治療に努めている。また、社長自身が前向きに治療しながら働いた経験を踏まえ、治療と仕事を両立できる仕組みを作った。この取組みが評価され、2015年に「Teamがん対策広島」県知事賞を受賞するほか、2018年には厚生労働省の「がん対策推進企業アクション推進パート企業」に登録されている。

「なんでもやる課」の設置や充実の治療費補助で不安を解消

 両立支援の取組みとして、特徴的なのは「なんでもやる課」を設置していることだ。「けがや病気で通常業務が困難な社員や、身体や精神等に障がいのある社員を対象に、身体の負担を考慮しながら働けるように設置しました」と小松氏はなんでもやる課の背景を説明する。
 なんでもやる課は、他部署の補助や工場内の清掃などが主な仕事だ。なんでもやる課への異動は、社員の場合、本人の希望を聞きながら所属長、総務課が相談し、必要に応じてメンタルサポート医とのカウンセリングを行った上で決める。清掃や軽作業などに従事し、心身ともによくなれば現場へ復帰する。




 両立支援を受ける社員にとって、病気が治るかどうか治療に対する不安と、治療費の支払いなど生活の不安がある。こうした不安を少しでも解消するのが、がん治療費補助見舞金制度だ。入社1年以上経った正社員を対象に、全額会社負担でがん保険に加入。保険をかけている社員ががんを発症した場合、給付金を入院費や治療費に充てられるようにしている。「がんの治療法が入院より通院が主流になってきたため、治療費を主とした保険内容に変更しています」と小松氏は話す。

 がんにかかったある社員は、がん保険の給付金(50万円)、入院費(5000円/1日)、手術費(10万円)が支給された。また、協会けんぽの傷病手当金支給申請書を提出し、日給の6割が個人の口座に振り込まれた。こうして治療費の不安を軽減するとともに、所属長が月に2回程度、本人に状況を確認し、職場復帰の目途について話し合い、生活の不安を解消できるように社内で調整しているという。

両立支援にかかるコストを上回る売上と収益を達成

 こうした両立支援、健康経営の効果について、小松氏は「私自身が乳がんの治療を受けながら働き続けることの大切さを実感し、社員も私の姿を見て、治療しながら働ける環境づくりの必要性を理解しています。がん保険の全額会社負担など確かにコストはかかりますが、社員は安心して働けることでモチベーションが上がり、コストを上回る売上と収益を達成しています」と強調する。また、毎年、2泊3日で出かけている社員研修旅行をはじめとして様々な工夫で社員のモチベーション向上、コミュニケーション活性化にも力を入れている。

 今後の課題は、治療などで有給休暇を使い果たしてしまった社員への対応だ。「協会けんぽの傷病手当金は1年半までです。治療などで有給休暇を使い果たした場合、フレックスタイム制の導入を検討しているところです」と小松氏。フレックスタイム制の導入により、治療だけでなく、子育てや介護など、働きやすい時間に仕事ができる仕組みづくりに取り組む。

 メンテックワールドの社名には、「環境」「人」「技術」「世界」の意味が込められているという。環境と人を大切にしながら、技術開発で世界へビジネスを広げる同社のダイバシティ経営、そして両立支援の取組みが加速するに違いない。

©Ministry of Health, Labour and Welfare