厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

安心して就業継続できる「治療と仕事の両立支援」の方針を制定

株式会社エノモト

相談員の皆さん

会社名
株式会社エノモト
所在地
山梨県上野原市上野原8154-19
事業内容
電子部品製造業
設立
1967年4月
従業員数
612名(2023年10月現在)
平均年齢
43歳 /男女比 男性8.3:女性1.7
産業保健スタッフ
3名

株式会社エノモトは1962年7月1日創業以来、半世紀に渡りものづくり一筋に取り組んでいます。長年培ってきた確かな技術で打ち抜き加工、曲げ加工、絞り加工、モールド加工など広範囲なジャンルの高度な金型技術を駆使しながらエノモトにしかできないものづくりを極めていきます。エノモトは社員一人ひとりが持っているものづくりDNAを武器に、これからもお客様や地域社会に信頼され、支持される強靭な企業であり続けるよう努めています。
治療と仕事との両立支援においては、両立支援担当者が、制度内容・不明な点・不安な点について当事者に寄り添いながら対応し、最適な治療と仕事の両立プランで支援を行っています。

治療と仕事の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

経営理念である「経営の中心は人であり、健全なものづくりを通じて、豊かな社会の実現に貢献する」に基づき、従業員一人ひとりが安心して就業継続することを目指しております。実際にがん・メンタルヘルス・不妊治療などの治療が必要となった従業員がおり、仕事と治療との両立を行うことで精神的にも経済的にも安心していただくために両立支援を行う必要があると考えました。

従業員の両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものがあればお聞かせください。

「エノモトポータル」という社内イントラネットに掲出している社内報(年4回)で「治療と仕事の両立支援」の方針を年1回は従業員に周知しています。
〈治療と仕事との両立方針〉
がん・脳血管疾患・糖尿病・メンタルヘルス・不妊治療などの治療が必要となった従業員については、最適な治療と仕事の両立プランで支援を行います。
〈職場の健康と心身の健康〉
・相談し合える、支え合える人間関係づくりで健康的な職場風土を目指します。
・長時間労働の抑制と年次有給休暇の取得を促進し、仕事と生活の調和のとれた働き方で心身の健康を高めます。
・メンタルへルスやハラスメント等に関する相談体制の充実を図ります。

両立支援を行うための仕組みや支援者・支援制度をお聞かせください。

〈働き方・休み方に関する制度〉
・時間単位や半日単位などで利用できる有給休暇制度および積立休暇制度
・不妊治療が必要な場合に利用できる特別休暇制度
・主治医やご本人の希望を聞きながら、就業上必要な配慮による働き方支援
・在宅勤務制度の活用により生活時間の充実による心身への負担軽減
〈両立支援に関する意識啓発〉
・従業員に対して社内報等を通じた治療と仕事の両立に関する意識啓発
・不妊治療と仕事との両立に関する労働者の理解を促す取組の実施
〈がん・糖尿病・不妊治療など治療と仕事との両立 相談窓口〉
・3名の両立支援担当者を任命し、制度内容・不明な点・不安な点について当事者に寄り添いながら対応

貴事業場の仕事と治療の両立支援の具体的事例(実例・実績)をお聞かせください。

がんに罹患した従業員に関して主治医や本人の希望(治療方針)を把握した上で、積立休暇や年次有給休暇の時間単位・半日単位・一日単位での利用や、傷病手当金申請による経済的な不安の軽減、在宅勤務を行うことによる精神的、肉体的負担の軽減で、治療と仕事の両立が可能となった事例があります。

その他特記事項(研修等による意識啓発・労使の協力等)がありましたらお聞かせください。

治療と仕事の両立支援を実現するためには、「職場風土づくり」が欠かせないと考えており、従業員と会社が成長する「三位一体改革」を行っています。まず、「働く場」に最も影響を及ぼすのは従業員そのものです。名前を呼んで話しかける・感謝の気持ちを伝えるなど「当たり前のことを当たり前にする」ことを大切にし、お互いを尊重し合える職場を目指しています。次に、「働く人」に最も影響を与えるのはリーダーです。部下の能力やアイデアを引き出せるリーダーを1年~2年の学びの場を通じて成長を支援し、実践の場では部下らとの関わりを通じ成長しています。最後に「働き方」に最も影響を与えるのは制度です。働きやすさや働き甲斐を高める制度、仕事と家庭の両立が実現できる制度です。この3つ(働く場・働く人・働き方)を従業員一人ひとりが大切にすることで成果が生まれる「職場風土」が醸成されます。まだまだ不十分な点も多く課題を抱えていますが、少しずつ会社が大切にしていることが従業員に理解され変化が生まれています。治療と仕事との両立が当たり前の「職場風土」となっており、我々スタッフも嬉しく思っています。

両立支援に取り組まれたことによって生じた良い効果についてお聞かせください。

年1度の自己申告調査時に「生活(育児・介護・治療等)と仕事の両立を行う上で、不安な点や相談したいこと、両立支援策などの提案」を従業員に質問していますが、不安な点や相談したいことや提案などの声をいただき、会社側の気づきになっています。実際に従業員の声を反映した制度もあり、労使が理解し合っている関係に思えます。このような活動は継続することが大切だと考えておりますので、これからも従業員の声に真摯に向き合っていきます。

今後の展望・課題をお聞かせください。

「この制度で大丈夫」「両立は実現できている」と思い込まないことだと考えています。常に変化している社会環境や労働環境に注視し、最善な仕組みや対応等は何か模索し続けたいと思います。

取組事例一覧