アイバイオテック株式会社
がんに罹患した従業員の働きたいという希望を叶えるため、両立可能な環境整備に尽力
企業概要
| 所在地 | 茨城県つくば市二の宮2-5-1吉春ビルⅢ2C号室 |
|---|---|
| 業種 | 情報通信業 |
| 設立 | 2007年7月23日 |
| 従業員数 | 8名(2024年3月現在) |
| 平均年齢 | 40歳 / 男女比 男性7:女性1 |
| 産業保健スタッフ | 0名 |
| 事業内容 | ITコンサルティング、アプリケーションシステム開発・運用保守 |
取組の概要
従業員のがん罹患をきっかけに、テレワークの導入や仕事のカバー体制整備を進め、治療しながら働き続けられる環境作りを実施
取り組んだ背景、経緯
- 2018年末に、従業員の一人から、がんに罹患したとの報告を受けました。
- 当時は治療と仕事の両立支援に関する取組は何も行っていない状況でしたが、がんに罹患した本人が、できる限り仕事を続けたいと希望していたため、治療をしながら働き続けられるような体制づくりに着手しました。
がんに罹患した従業員への支援
- 最初に病気についての報告を受けたとき、従業員から、「病気になったら辞めないといけないのでしょうか」という言葉がありました。そのとき、社長としては従業員本人の希望を第一に叶えたいと考え、「あなた自身はどうしたいのか」とたずねました。すると、自分の子どもに働く姿を見せたい、何よりITが好きなので仕事を続けたい、という思いを聞くことができました。
POINT
取組・推進体制、労使での話し合いの機会
- 社長・副社長が中心となり、両立支援の取組を進めていきました。
- 従業員は、罹患当時、取引先の会社に常駐して業務を行っていたため、本人の了解を得たうえで、取引先とも密に連携をとり、働き方についての相談を行いました。
- 相談を行う際は、小さなことからこまめに相談をしていくようにしました。従業員はエンジニアのスキルが高く、取引先からの信頼も厚かったこと、また取引先が医療に関する業種で、病気に対する理解も高かったことも、理解を得るうえで助けとなりました。
POINT
当時は取引先に常駐する仕事しかなかったため、取引先の理解を得ることは両立支援を行ううえでとても重要でした。
休暇制度、勤務制度
- 治療と仕事の両立を支援するため、働く時間や場所の柔軟性を高める施策として、テレワーク環境の整備を行いました。
- 当時はテレワークが一般的ではなく、従業員が扱う情報の多くが厳格な管理を要するものであったため、すべての業務をテレワークに移行することは困難でした。そこで、取引先とも相談のうえ、テレワークで作業可能な業務を選定したことにより、対応することができました。
- また、がんの投薬治療が始まると体調が不安定になりやすいため、治療中の従業員の業務内容を同僚1名がサポートし、業務内容を分担・共有するよう、カバー体制を整えました。
- 具体的には、治療中の従業員1名に対し、サポートする従業員1名を決めました。そのうえで、治療中の従業員に割り振る仕事を明確にし、もう1名の従業員にもその内容を把握してもらいました。
-
<テレワーク・カバー体制の状況>
(インタビュー内容を踏まえて作成)
- その他、全社的に半日単位・時間単位の年次有給休暇の導入や、年次有給休暇取得の奨励、時間外勤務の原則禁止等の取組も進めました。もともとIT業界は長時間働く風土があり、当社もそうした状況でしたが、治療に限らず、育児や介護など様々な事情を抱えた従業員でも働き続けられる環境を整備することが重要と考え、こうした取組を行いました。
POINT
個別対応だけでなく、会社全体として働きやすい職場風土に改善していくことで、治療中の従業員が安心して働ける環境につながると考えました。
まずはこの一歩から!
- 小規模である強みを活かして、半年に一度、従業員全員が社長と面談をし、目の前の仕事のことだけではなく、どんな人生を送っていきたいかという長期的な目線でも話をしています。
POINT
長期的な目線での話をする機会があることで、病気という大きな変化があった際にも、社長に相談しやすい風土づくりにつながっていると感じます。
これから取り組む企業の皆さんへ
- 治療と仕事の両立支援として特別に考えるのではなく、子育てや介護なども含め、働く時間や場所に制約がある人の働きやすい環境づくりを行っていくことが重要だと考えています。いざという時に備え、できるところから環境整備を進めていってはいかがでしょうか。
(代表取締役社長兼CEO高橋さん、代表取締役副社長兼COO土方さん)
その他の取組等
治療と仕事の両立支援に関する基本的な考え方・方針、提示方法
病気の当事者以外の従業員も参加し、「仕事と治療のハンドブック」を作成
- がん患者の支援をしている民間団体に協力してもらい、3年前に社内で活用するための「仕事と治療のハンドブック」を作成しました。内容としては、がんの基礎知識、治療と仕事の両立に関する体験談、相談窓口などを記載しています。
- ハンドブックの作成に当たっては、病気の当事者以外の従業員にも参加してもらい、参加した全員の意見を聞きながら内容を検討しました。
- 作成したハンドブックは、従業員全員がアクセスできるフォルダに保存しており、いつでも見ることができます。
取組の効果、課題の克服方法、今後の展望
取組開始時には情報収集に苦戦。自ら積極的に動き、様々な人や場所から情報収集
- 治療と仕事の両立支援の取組を開始した直後は、何をすればよいのか手探りで、情報収集に苦労しました。治療と仕事の両立支援に詳しい大学教授に話を聞きに行ったり、社会保険労務士に相談したほか、民間団体の主催する集まりにも積極的に参加し、情報を集めました。
- 両立支援を開始するきっかけとなった従業員の方は、残念ながらお亡くなりになりましたが、その経験を活かして、今も治療と仕事の両立を希望する方を積極的に採用しています。今後もこうした取組を継続していきたいと考えています。
(令和8年3月時点)
仕事を続けたいという本人の意欲が、周囲に伝わっていたからこそ、両立支援の取組みもスムーズに進んだのだと思います。