株式会社三恵シーアンドシー
相談窓口の周知を徹底するなど、既存の取組の実施方法を見直すことで、限られた予算や人材の中で両立支援を実現
企業概要
| 所在地 | 愛知県大府市横根町茨狭間7-87 |
|---|---|
| 業種 | 製造業 |
| 設立 | 1967年5月17日 |
| 従業員数 | 84名(2025年10月現在) |
| 平均年齢 | 45.7歳 / 男女比 男性8:女性2 |
| 産業保健スタッフ | 3名 産業医(嘱託)1名、衛生管理者1名、管理栄養士1名 |
| 事業内容 | 加工用治具および専用機(検査・切削・組立等)の設計製作 |
取組の概要
健康経営優良法人中小規模法人部門認定をきっかけに、治療と仕事の両立支援の取組を開始。既存の取組を改めて推進するとともに、相談窓口の周知を徹底。
取り組んだ背景、経緯
- 「会社にとって、社員一人ひとりが大切な財産であり、こころとからだを健康に保ち健やかに就業していただく環境づくりが重要である」という会社の方針に基づき、2018年より健康経営の取組を推進しています。健康経営優良法人中小規模法人部門の認定要件の1つに、「仕事と治療の両立支援」が掲げられていることから、治療との両立支援に対応できるように就業規則に追加するなどの取組を進めてきました。
- 2022年に従業員が交通事故に遭い、当初の想定よりも長期間の療養が必要になりました。そのことが、治療と仕事の両立支援に本格的に取り組む契機となりました。
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(同社提供)
取組・推進体制、労使での話し合いの機会
- 両立支援コーディネーター基礎研修を修了した総務課の衛生管理者が、治療と仕事の両立支援の主な担当です。
- 総務課では、課員が何らかの外部研修を受けた際は課内で情報共有し、総務課内で標準的な対応ができるようにしています。治療と仕事の両立支援についても、両立支援コーディネーター基礎研修を受講した衛生管理者が講師となり、総務課の他の課員が両立支援について研修する機会を設けました。
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(同社提供)
POINT
相談窓口、社内における両立支援体制の整備
- 相談窓口では、治療と仕事の両立だけでなく、業務のことや上司との関係など、幅広い内容を受け付けています。衛生管理者が相談を受け付けた後は、相談者の希望を確認した上で、必要に応じて、上司、産業医など関係者や関係部署につなぐようにしています。
- 従業員からの相談内容は多岐にわたるため、初めに総務課が対応することで情報が整理でき、関係者や関係部署につなぐことができます。そうすることで、解決に向けた対応を速やかに進めることができていると思います。
- 相談窓口については、毎月、全従業員に対してメールで周知しています。2024年に行ったストレスチェック集団分析の結果から、社内のコミュニケーションに課題があることが分かったことがきっかけで、相談しやすい環境づくりの一環として、相談窓口の周知に力を入れています。
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(インタビュー内容を踏まえて作成)
POINT
少人数の職場だから敢えて相談窓口について案内しなくても相談してくれるだろう、といった予断を持たず、従業員が会社に相談するのはハードルが高いと考え、定期的な相談窓口の周知に取り組んでいます。
交通事故によって障害が残った従業員への支援
- 交通事故被害に遭い、1年以上にわたる休職期間を経て、後遺症が残ったままフルタイム勤務で職場復帰した従業員がいます。
- 以前は、図面を見ながら組立を行う部署に所属し、身体を動かす業務でした。職場復帰後の部署の決定に当たっては、産業医の意見を参考にしながら、従業員の状態や経験を活かせるように配慮しました。職場復帰後は、身体的な負担を軽減できるように部署を異動してもらい、座った状態で、図面をチェックする業務に変更しました。
- 従業員自身が正社員で職場復帰することを懸念しており、当初はパートタイムでの職場復帰や転職も含めて検討していました。しかし、従業員の配偶者からの後押しもあったことから、会社としても正社員での職場復帰を前提に支援しました。現在も治療をしながら働いており、新たな部署で若手の指導・育成といった面でも活躍してもらっています。
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(同社提供)
POINT
職場復帰に当たっては、職場復帰後の目標や役割を一緒に相談しました。このことにより、従業員が「自分は会社に貢献できている」と感じ、仕事に対するやりがいを保ってもらえたと思います。
まずはこの一歩から!
- 従業員が少ない中小企業では「治療と仕事の両立支援は難しい」というイメージを持つ方が多いかもしれません。しかしながら、両立支援を目的とした取組でなくても、元々取り組んでいることが両立支援に活用できる場合も多いと思います。たとえば、当社では元々働き方改革の一環で1人の従業員が複数の業務を遂行できるようにする多能工化に取り組んでおり、業務調整をスムーズに行えることが、治療と仕事の両立が必要な場合も休みを取りやすい環境につながりました。
POINT
中小企業は予算も人材も限られている中で、治療と仕事の両立支援に取り組む必要があります。既存の取組を活かせるのではないか、また取組が機能するにはどのようにすればよいか、見直してみてください。
これから取り組む企業の皆さんへ
- 両立支援が必要な従業員が現れてから臨機応変に対応していこうとしても、対応が慌ただしくなりがちです。あらかじめ方針や社内制度を定めておくとよいと思います。また、健康経営や働き方改革などの枠組みで取組を進めておくと、そのことが治療と仕事の両立支援につながることも多いと思います。
(総務課:山崎さん・岩井さん)
その他の取組等
治療と仕事の両立支援に関する基本的な考え方・方針、提示方法
基本方針を浸透させる重要性を踏まえ、従業員に定期的に案内
- 当社として治療と仕事の両立支援に関する基本方針を定め、経営理念とともに、社内の各所に掲示しています。また、メールによる情報発信や朝礼での案内など、定期的に情報発信を行っています。
- 各取組を行う上では基本方針を従業員に浸透させることが重要であるため、周知に尽力しています。
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(同社提供)
取組の効果、課題の克服方法、今後の展望
相談窓口の周知の徹底によって相談件数が増加。中小企業であっても社内制度を整備し、会社としての支援の在り方について共通認識を作ることが重要
- 現在の相談窓口を設置する前は、安全衛生委員会を活用し、相談を受け付けていました。その頃よりも相談件数が増えており、現在の相談窓口の設置方法や周知方法は有効な取組ではないかと考えています。
- 中小企業であるがゆえに、個別にどのような対応をしているかが他の従業員に伝わりやすいという面があります。柔軟に対応できるという個別対応のメリットはある一方、従業員ごとに対応が異なると、不公平感が生じる懸念もあります。そのため、中小企業であっても社内制度や仕組みを整備し、会社としての支援の在り方について共通認識を作ることが重要だと思います。
- 社内制度を作るうえでは、文言一つで誤って理解されてしまうリスクがあるため、文言には細かな点まで留意して検討するようにしています。また、社内制度を従業員に理解してもらうことも重要です。
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(同社提供)
(令和8年3月時点)
従業員には、困ったことがあればまずは総務課に相談する、ということが周知されているため、総務課では誰が相談を受けても対応できるよう標準的な対応方法を決めています。