セントラルヘリコプターサービス株式会社

  1. ホーム
  2. 両立支援の取組事例
  3. セントラルヘリコプターサービス株式会社

退院後の長期にわたる通院に対応するため、独自に長期間通院休暇制度を導入。総務部内に相談担当者を配置し、従業員自身の選択を大切にしながら支援を実施

企業概要

所在地 愛知県西春日井郡豊山町大字豊場字林先1-1 名古屋空港内
業種 運輸業・郵便業
設立 1967年3月10日
従業員数 150名(2025年7月1日現在)
平均年齢 42歳 / 男女比 男性5.25:女性1
産業保健スタッフ 5名(産業医(嘱託)1名、衛生管理者2名、衛生推進者2名)
事業内容 ・航空運送事業(ドクターヘリや防災ヘリ、遊覧、緊急医療サービス運航など)
・航空機整備事業
・教育訓練事業

取組の概要

「長期間通院休暇制度」を独自に設け、退院後も長期にわたって定期的な通院が必要な場合に対応。総務部内に治療と仕事の両立支援の担当者を配置し、いつでも相談できる環境を整備

取り組んだ背景、経緯

  • 2018年、従業員数約110名のうち、がんの罹患者が一定数おり、中小企業であっても治療と仕事の両立支援の取組が必要だと感じました。
  • そこで、総務部が中心となり、親会社における両立支援制度を参考にしたり、従業員の意見を聞いて独自に検討したりしながら、治療と仕事の両立支援に関する取組を整備してきました。

POINT

女性のアイコン

従業員が働きやすい職場環境を整えることは、人材確保や離職防止において、必要不可欠です。治療と仕事の両立支援の体制を充実し、がんに罹患しても安心して働くことができる職場風土を作っていくことは、会社の重要な役割だと考えています。

取組・推進体制、労使での話し合いの機会

  • 総務部には、治療と仕事の両立支援の相談窓口も設置しています。治療と仕事の両立支援に関する取組については、従業員の意見も取り入れながら、社内制度等を整備しています。
  • また、親会社を含めたグループ会社間で、治療と仕事の両立支援に関する社内制度の改定やハンドブックの作成等について情報共有を行っており、必要に応じて、当社に取り入れています。

POINT

女性のアイコン

がん治療と仕事の両立に限らず、育児や介護、がん以外の治療など、様々な事情を抱えている従業員がいるため、お互いを思いやることができる職場環境を作りたいと考えています。

休暇制度、勤務制度

  • 当社独自の休暇制度として「長期間通院休暇制度」を設けています。長期間の治療を要する場合、年間12日間の休暇を取得することができます。例えば、がんで手術して退院した後も定期的な通院が必要となりますが、土日や平日の終業時間後では病院に通うことが難しい場合も多いです。こうした社内独自の休暇制度により治療と仕事の両立を支援しています。
  • また、積立失効有給休暇制度という社内制度を設けています。失効した有給休暇(最大3年分)を私傷病にも利用できるもので、有給休暇を5日残した状況から利用することができます。
  • 抗がん剤治療をしていると脱毛したり、手術の傷跡が人目につくことが気になる場合もあります。また、手術後、外出できるようになるまで時間がかかる場合もあります。そこで、本人の状態を考慮して、在宅勤務ができるようにしました。
  • その他、時差勤務、時間単位有給休暇制度などを導入しています。

POINT

女性のアイコン

通院や本人の状態に合わせて、独自の休暇制度や在宅勤務といった治療と仕事が両立できるように支援する社内制度を整えることが大切です。

がんに罹患した従業員への支援

  • 従業員(操縦士)から、中咽頭がんに罹患したとの報告がありました。がんと診断されると航空身体検査が不適合(※操縦士が安全に操縦業務を遂行できる健康状態を満たしていない状態)となるため、操縦業務以外の業務に配置転換する必要がありましたが、まずは本人が治療に専念できるよう会社として環境を整えました。
  • 手術とその後の放射線化学療法を含め、入院期間は約4か月となりました。その期間、従業員からは週に1回程度メールなどで治療の状況についての報告を受けました。
  • 退院後、仕事復帰に向けて、従業員、相談窓口の総務担当、職場の上司で、勤務方法や業務内容について話し合いました。相談の結果、入院する前に行っていた操縦以外の業務のうち、管理業務や事務処理業務を在宅勤務で行うこととしました。
  • 復職して約6か月後、航空身体検査を再度受け、従業員は操縦業務に復帰することができました。操縦業務復帰後、最初の3年間は月1回経過観察のための通院が必要であり、徐々に通院頻度は減っていきますが、現在も経過観察は継続しています。こうした通院には、社内の長期間通院休暇制度を活用しています。
  • (同社提供)

POINT

女性のアイコン

退院直後は操縦の仕事はできませんでしたが、本人の意向をふまえ、入院前に担当していた業務を継続できるよう調整していきました。また、通院は長期にわたり継続しているため、長期間通院休暇制度を活用しています。

まずはこの一歩から!

  • 総務部が中心となって、仕事と治療の両立支援に関わる様々な情報を収集しながら、社内の取組や制度の充実を図っています。また、総務部に相談窓口を設置して、相談しやすい環境を整えています。

POINT

女性のアイコン

治療をしながら働く場合、職場との調整が必要となります。従業員、職場の上司との話し合いの場などに相談・調整役として総務部の従業員も参加しています。社内制度等を活用した働き方をアドバイスすることができます。

これから取り組む企業の皆さんへ

  • 治療と仕事の両立支援は、それほど難しいことではありません。まずは、会社としてできそうなところを見つけて取り組んでみてはいかがでしょうか。
  • 人材確保が難しい状況の中、中小企業も、従業員が治療や育児、介護などと両立しやすい環境を整備していくことが大切になっていると思います。
    (総務部長:中野徳子さん)

治療と仕事を両立している従業員の声

  • がんに罹患していることがわかったとき、知識がないためにとても不安を感じました。簡単でもよいので、事前に社内にどのような支援制度があるのかを知っておくと、いざ病気となったとき、不安や葛藤が和らぐのではないでしょうか。
  • また、罹患した従業員の家族は、病気のことも会社のことも見えづらく、大きな不安を抱えている場合があります。日ごろから自分の家族にも、社内の両立支援制度について、伝えておくと良いと思います。会社には、家族に対しても、社内制度等をわかりやすく伝えるサポートがあると良いのではないかと感じました。

その他の取組

治療と仕事の両立支援に関する基本的な考え方・方針、提示方法

会社からの情報発信を通じて、働きやすい職場風土づくりにつなげる

  • 治療と仕事の両立支援の取組が民間プロジェクトで受賞するなど、対外的な発信の効果もあり、会社の治療と仕事の両立を応援するという姿勢が従業員に浸透していきました。さらに、職場の上司を経由して、総務部へ相談がつながるようになりました。従業員本人ではありませんが、単身赴任している従業員の家族ががんに罹患したことがあり、職場の他の従業員から、家族との時間を大切にしてほしいという思いより、自宅に戻してあげてほしいという声が届いたこともありました。
  • 会社として、治療と仕事の両立について、様々な取組を行っていますが、罹患した従業員を特別扱いするのではなく、風土として病気になっても働きやすい環境を根づかせることが大切だと考えています。
  • 代表取締役社長 堀内 晋さん

相談窓口

相談に対応する際には、会社ができることについて選択肢を示したうえで、従業員自身の選択を大切にしながら支援を実施

  • 治療と仕事の両立支援の相談窓口として、総務部内に担当者を配置し、いつでも相談できる環境を整えています。治療をしながら働くことを申し出た従業員と密にコミュニケーションをとりながら治療に応じた休暇取得、休職中の賃金、復職する際の制度などの相談に応じます。
  • 相談を担当する総務担当者2名と衛生管理者1名の計3名が両立支援コーディネーター基礎研修を修了しています。研修を受講したことで、治療と仕事の両立支援に関する基本的な考え方、対応方法について理解することができました。
  • 具体的な相談対応の流れとしては、例えば、従業員から、がんに罹患したと相談があった場合、がん研究センターの関連サイトや書籍等からがんに関する情報を収集しています。また、従業員に対して、今後の手術や治療の計画について、主治医に確認してもらい、その情報を踏まえ措置や配慮について対応を検討します。その他、必要に応じて、産業医との面談を行います。

社外支援の活用

産業保健総合支援センターの研修に参加して、治療と仕事の両立に関する情報を収集。団体長期障害所得補償保険により、経済的な支援も実施

  • 産業保健総合支援センターでは、治療と仕事の両立に関するテーマでの研修も数多く開催されており、専門的な知識を得られて参考になります。他社の取組事例の紹介もあり、毎回、刺激を受けています。産業保健総合支援センターの研修情報等は、登録しているメールマガジンから得ています。
  • 親会社を含めたグループ会社全体で共済会を組織しており、保険会社が提供する団体長期障害所得補償保険(以下「GLTD」という。)を導入しています。特に、操縦職は航空身体検査に合格する必要があり、本来の操縦業務に復帰するまでに時間がかかる場合があるため、操縦職向けのGLTDは一般職とは別に補償金額を高くするなど充実した内容としています。

取組の効果、課題の克服方法、今後の展望

人材確保の面からも治療と仕事を両立しやすい職場づくりは重要。中小企業ならではの柔軟な対応により推進

  • がんに罹患した従業員は、定年退職した従業員以外、皆、就労を継続しています。病気になっても仕事を続けることが当たり前という職場環境になっていると感じます。
  • 中小企業の良いところとして、柔軟な対応が可能な点が挙げられ、制度を人に合わせるのではなく、人に制度を合わせていきやすい面があります。一方、特別扱いしすぎないことも大切です。
  • 中小企業では人材確保が困難で、いかに辞めずに働き続けてもらうかが重要です。特に、操縦職や整備職の確保はとても厳しい状況にあります。業界として、若い世代にどのようにこの業界に入ってもらうかを考えていく必要もあります。治療と仕事を両立しやすい職場づくりは、人材確保の面でも重要な取組と認識しています。
  • (同社提供)

(令和8年3月時点)