アネスト岩田株式会社 秋田工場
保健師のこまめな働きかけによって従業員との信頼関係を構築し、「開かれた医務室」として気軽に相談できる環境を整備
企業概要
| 所在地 | 秋田県大仙市藤木字下野中21 |
|---|---|
| 業種 | 製造業 |
| 設立 | 1972年10月 |
| 従業員数 | 66名(2025年11月5日現在) |
| 平均年齢 | 37歳 / 男女比 男性4:女性1(2026年2月3日現在) |
| 産業保健スタッフ | 3名(産業医1名(嘱託)、保健師1名、衛生管理者1名) |
| 事業内容 | 塗装機器・塗装設備とその周辺機器の製造販売 |
取組の概要
保健師が事業所内を巡回して従業員とこまめにコミュニケーションを取り、信頼関係を構築。誰でも気軽に相談できる「開かれた医務室」を心がける
取り組んだ背景、経緯
- 当社では、かねてより、治療と仕事の両立支援に係る社内規程を定め、本社が中心となり、各地の工場も含めた会社全体で休職者の支援に取り組んできました。2019年に健康経営の推進を始め、健康経営銘柄の取得を目指し、新たな社内制度の導入や産業保健スタッフの増員により体制強化を進めていきました。
- 健康経営の推進にあたり、全事業所に保健師を配置する方針となったことから、当事業所でも、2018年末に保健師を1名採用しました。従業員の健康増進をはじめ、治療と仕事の両立支援についても、保健師が中心となって取り組んでいます。
取組・推進体制、労使での話し合いの機会
- 当事業所では、工場長、人事担当者、衛生管理者、産業医、保健師が中心になって取組を進めています。中でも保健師には、2020年に両立支援コーディネーター基礎研修を受講してもらい、両立支援コーディネーターとして、主治医や産業医、従業員の上司との連携を図ってもらっています。
- また、関係者間で連携を図る際、両立支援コーディネーター基礎研修のテキストや、厚生労働省の「治療と仕事の両立支援ナビ」に掲載されている様式例を活用しています。
POINT
相談窓口、社内における両立支援体制の整備
- 保健師が相談窓口を担当しています。年に1回、全従業員に面談を実施するほか、治療と仕事の両立支援などの相談を随時受け付けています。また、当事業所独自の取組として、月に1回、女性専用の相談窓口を開設し、女性従業員が相談に訪れやすくする工夫をしています。
- 保健師は、日頃から事業所内を巡回し、従業員の様子を観察したり、従業員とこまめにコミュニケーションをとったりしています。事業所内を巡回する中で、保健師が対応を要すると判断した従業員に対しては、従業員本人の了承のもと、従業員の上司と連携して、情報共有したり、面談や受診を勧めたりと早期に介入することで、適切な支援につなげています。こうした保健師の日々の働きかけによって、従業員との間に信頼関係を築き、「開かれた医務室」とも呼べる、誰でも気軽に相談できる環境を整備しています。
POINT
従業員が悩みや不安を打ち明け、心身の調子に関する相談を安心してできる場所を目指して、医務室を運営しています。
休職が長期化した従業員への支援
- 病気の治療のために休職した従業員がいました。当初は短期間の休職を予定していましたが、想定よりも治療に時間を要し、休職期間が長期化しました。その際に、従業員の体調に配慮しながら月1回程度来社を促したり、保健師による電話での健康相談(治療の状況や体調の確認)をしたりして、定期的にコミュニケーションを図るようにしました。
- その後、従業員から職場復帰の申出があったことを受けて、職場復帰支援プラン(※)を作成し、職場復帰に向けた支援を開始しました。職場復帰支援プランは、業務の内容を決定する現場の担当者や衛生管理者、工場長と相談しながら、保健師が中心となって案を作成し、主治医や産業医とも連携して、最終的なプランを作成しました。プランの内容には、勤務時間の柔軟な変更も含まれていました。最初は午前だけの半日勤務から開始し、次に朝から15時までの短時間勤務、最終的にはフルタイム勤務というように、勤務時間を段階的に伸ばすようにして職場復帰を進めました。
- 厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」を参照
POINT
休職期間が長期化すると、従業員の精神状態が悪化し、当初は職場復帰を希望していても、徐々に復帰へのモチベーションが低下してしまうことがあります。休職期間中の丁寧な面談・声かけや、職場復帰支援プランの作成を通じて、事業所全体で職場復帰を後押しすることが重要だと感じます。
まずはこの一歩から!
- 当事業所の場合、相談窓口を担当する保健師が、病気やケガに関する従業員個々の情報を取りまとめ、どの程度詳細に伝えてよいかを従業員に確認した上で、従業員の上司に伝えるようにしています。プライバシーに配慮しながら丁寧に従業員と調整する姿勢が、従業員との信頼関係の構築につながり、従業員が気軽に相談してくれるようになりました。
POINT
病気やケガに関する情報含め、保健師が従業員の個人情報の共有について十分に配慮していることが従業員に伝わっていると、従業員が相談に訪れやすくなり、より詳細に状況や悩みを話してくれるようになります。
これから取り組む企業の皆さんへ
- 産業保健スタッフが日頃から現場に足を運び、従業員とコミュニケーションをとっていることで、産業保健スタッフと従業員の信頼関係を深めています。また、朝礼等にも出席し、出勤時の従業員と顔を合わせているため、心身の調子の変化に気づき、早期の支援につなげることができています。保健師などの産業保健スタッフの配置や、産業保健スタッフと従業員との関係づくりについて検討してみてはいかがでしょうか。
その他の取組等
休暇制度、勤務制度
時間単位の年次有給休暇や短時間勤務制度により、通院や職場復帰支援プランの実施に対応
- 時間単位で年次有給休暇を取得できるため、通院などが必要な場合に活用できます。
- 職場復帰する従業員に対しては、職場復帰支援プランの中で、短時間勤務制度を適用することもあります。例えば、職場復帰直後は午前だけの半日勤務、次に朝から15時までの短時間勤務、最終的にはフルタイム勤務とするといったように、勤務時間を段階的に延ばすことができます。
関係者の情報共有
両立支援コーディネーターの保健師が中心となり、関係者間の情報共有を取りまとめ
- 従業員の職場復帰の際は、両立支援コーディネーターの保健師が中心となり、「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」の流れに沿って進めています。従業員が主治医に主治医意見書を作成してもらいます。その後、保健師が職場復帰支援プランの原案を作成し、従業員と産業医の面談実施、産業医より就業可否についての意見をもらい、所属部長や人事担当者等で構成される復職委員会(当社名称)の決定により職場復帰の運びとなります。
- 職場復帰支援プランの作成にあたっては、厚生労働省の「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」の様式例を活用しています。
取組の効果、課題の克服方法、今後の展望
休職者の職場復帰支援だけでなく、休職を予防するための支援に注力
- まずは病気にならないような働き方が必要であると考え、予防に力を入れています。健康をテーマにしたセミナーやeラーニング、体組成計の測定イベントなどを通じて従業員の健康意識を高めることや、様子が心配な従業員には早期に介入することに努めています。会社全体で健康経営を推進していることも相まって、従業員の健康への意識が高まりつつあり、健康診断の再検査・精密検査の受診率が上昇しています。
- 今後も、重症化する前に対処することが重要であるという考えを広めながら、従業員が休職に至ってもスムーズに職場復帰できるよう支援していきたいです。
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(同社提供)
(令和8年3月時点)
両立支援コーディネーター基礎研修を受講したことで、治療と仕事の両立支援の進め方や様式に関する有益な情報を得ることができました。