株式会社日本エー・エム・シー

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「治療と仕事の両立支援計画」を策定。会社の基本方針や相談窓口など、治療と仕事の両立支援に関する情報を集約し、従業員に周知

企業概要

所在地 福井県福井市市波町13番地8号
業種 製造業
設立 1963年2月11日
従業員数 180名(2025年4月1日現在)
平均年齢 41歳 / 男女比 男性8:女性2
産業保健スタッフ 3名(産業医(嘱託)1名、衛生管理者2名))
事業内容 高圧配管用継ぎ手の製造・販売

取組の概要

病気に罹患した従業員の支援を経験して、具体的な対応策の必要性を理解し、「治療と仕事の両立支援計画」を策定。従業員に向けて継続的に周知

取り組んだ背景、経緯

  • 2017年に従業員が難病に罹患し、長期治療が必要になったことをきっかけとして、治療と仕事の両立支援に本格的に取り組むこととしました。
  • 2018年には総務部に相談窓口を設置し、治療と仕事の両立などについての相談も受け付けられるようにしました。また、2022年2月に総務担当者が両立支援コーディネーター基礎研修を修了し、そこで両立支援における企業の役割などについても学ぶ中で、自社としての基本方針を策定する必要性を感じたことから、同年3月に当社独自の「治療と仕事の両立支援計画」を策定しました。
  • 代表取締役 社長執行役員
    北川 浩文さん

POINT

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当社では「ダイバーシティ推進」「働き方改革」「健康経営」に三位一体で取り組む方針を掲げ、誰もが安心して働ける職場づくりを進めてきました。こうした方針に基づき、1人の従業員が複数の業務を遂行できるようにする多能工化や、部署間でフォローし合う体制の整備などを推進してきたことも、治療と仕事の両立支援に役立っています。

取組・推進体制、労使での話し合いの機会

  • 両立支援コーディネーター基礎研修を修了した総務担当者を中心に、従業員からの相談対応、産業医との連携や専門機関(協会けんぽ、市区町村の相談窓口等)の紹介・取次、「両立支援プラン」の策定などを担っています。また、総務部には治療以外にも様々な相談が寄せられています。初めは病気に関する相談ではない場合でも、次第に治療のための欠勤や傷病手当などの相談へと広がり、支援が必要であると分かることもあります。
  • また、社内の相談窓口とは別に、キャリアコンサルタント資格も持つ外部の両立支援コーディネーターと連携し、キャリア形成支援のための相談窓口も設置しています。今後のキャリアを考える中では、仕事以外の生活にも目を向けることとなるため、相談の中で治療と仕事の両立に関わる話が挙がることもあります。キャリア形成のための相談窓口は総務部と別組織のため、外部の両立支援コーディネーターが治療と仕事の両立支援が必要と判断した場合に、従業員の了解を得て、総務部に情報共有されます。

事業者の基本方針の表明

  • 2022年3月に、当社独自の「治療と仕事の両立支援計画」を策定しました。同計画には、治療と仕事の両立支援に関する基本方針とともに、具体的な支援内容、相談窓口、従業員や管理監督者、人事労務担当者といった関係者の役割などを掲載しています。
  • A4・2ページとコンパクトに情報がまとまっており、従業員はこの資料を見れば、治療と仕事の両立支援に関する情報を参照できるようになっています。いまは治療と仕事の両立支援を必要としていない従業員にも、いざというときに備えて支援内容を知っておいてもらいたいという思いから、がんに関するeラーニングを実施するタイミングなどで、年に数回メール等で継続的に周知しています。
  • <治療と仕事の両立支援計画>

    (同社提供)

  • 「治療と仕事の両立支援計画」の作成に当たっては、厚生労働省が公表している「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」や、自社で調べた情報など様々なものを参考にしました。また、基本方針や具体的な支援内容、相談窓口等を載せるという構成は、メンタルヘルス対策に関する「心の健康づくり計画」を参考にしています。

がんに罹患した従業員への支援

  • 第二子の育児休業中の従業員が、がんに罹患していることが分かりました。従業員の就業継続意向も強かったことから、育児休業期間中に面談を行い、主治医や産業医とも情報共有しながら、フルタイム勤務で職場復帰してもらいました。
  • 職場復帰のタイミングでは、所属長および総務担当者(両立支援コーディネーター)と面談を行い、重い荷物の持ち運びを避ける・軽食を取るための休憩時間を確保するといった業務上の配慮事項を確認しました。また、従業員の配偶者も当社に勤めていたことから、配偶者とも定期的な面談を通じて、メンタルヘルスケアも行いました。体調の変化により短時間勤務に移行した後も、定期的に面談を重ねながら、「職場で働き続けたい」という従業員の気持ちに応えられるように取り組みました。

POINT

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育児中であったことに加え、外国籍で周囲に頼れる人も少ない従業員だったことから、会社としてもなんとか支えになりたいという思いで支援してきました。残念ながらその従業員はお亡くなりになってしまいましたが、働くことが一つの生きる目標になっていたのではないかと思います。これからも、職場復帰したいと思えるような、安心して働ける職場づくりに取り組んでいきたいです。

まずはこの一歩から!

  • 取組を推進するためには、経営層の理解を得ることが重要だと思います。当社の場合、総務部長が取締役専務執行役員であり、治療と仕事の両立支援を担当している総務課長と密に連携できる関係にあったことなども一因となって、円滑に取組を進めることができました。

POINT

女性のアイコン

育児や介護などの理由で休みを必要とする管理職層もいることも、治療と仕事の両立を支援する組織風土の醸成につながっていると思います。

これから取り組む企業の皆さんへ

  • 治療と仕事を両立できないことで離職してしまうと、せっかく病気が治っても、仕事していないことで前向きな生活を送りづらくなってしまう人もいると思います。治療と仕事の両立支援は、従業員がしっかりと治療を受けられるようにするためにも、治療後の従業員の生活を支えるためにも、企業にとって欠かせない取組だと言えるのではないでしょうか。
    (右:総務部長・取締役専務執行役員:高橋さん、左:総務課長:平瀬さん)

その他の取組等

研修等による意識啓発

全従業員が「がん対策推進企業アクション」のeラーニング教材を視聴。既存コンテンツを有効活用し、従業員の意識啓発を実現

  • 当社は厚生労働省「がん対策推進企業アクション」推進パートナー企業として登録しており、同プロジェクトの公式小冊子「働く人ががんを知る本」を希望者に配布しました。また、食堂にもこの冊子を設置し、関心のある従業員が手に取りやすいように配慮しています。
  • さらに、同プロジェクトのeラーニング教材「がん予防と両立支援」を活用し、従業員の意識啓発を図っています。誰もが治療と仕事の両立に直面する可能性があるので、全従業員に受講を求めました。受講期間は3~4週間程度と定めて、アンケートにより受講確認をしました。eラーニングは30分程度で、事前テスト・がんの予防に関する知識の学習・事後テストという3つのパートで構成されており、業務の合間でも受講しやすい内容となっていました。

POINT

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自社で研修を企画したり、教材を作ったりすることが難しくても、厚生労働省などが公開している既存のコンテンツを活用することで従業員の意識啓発を行うことができました。

休暇制度、勤務制度

失効年次有給休暇の積立制度を導入。年次有給休暇を使い切った後も、従業員が安心して治療を受けられるように支援

  • 従業員ががんに罹患したことをきっかけに、病気治療等のために利用できる失効年次有給休暇の積立制度を即座に導入しました。積立日数は最大40日までで、年次有給休暇を全て使い切った後に利用できるようにしています。
  • 年次有給休暇の日数が不足すると、安心して治療を受けることができません。従業員の不安を軽減したいという思いで迅速に導入できたのは、中小企業だからこそだったのではないかと思います。

取組の効果、課題の克服方法、今後の展望

「ダイバーシティ推進」や「働き方改革」等のために取り組んできたことが、治療と仕事の両立支援にも効果を発揮。今後は病気の予防や早期発見に資する取組を強化

  • 取組を推進する上で、大きな苦労や課題は感じませんでした。「ダイバーシティ推進」「働き方改革」「健康経営」に三位一体で取り組んできており、関連する取組について一定の蓄積があったことも、円滑な両立支援につながったと思います。
  • ダイバーシティ推進・働き方改革・健康経営
    三位一体での取組方針

    (同社提供)

POINT

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フルタイムで働き、仕事だけに専念できる人材で組織を成り立たせることは難しい時代ですので、多様な人材が活躍できる職場づくりを進めることが重要だと思います。治療との両立支援以外にも、育児や介護との両立支援、高齢者・外国人・障害者の活躍に資する取組など様々なテーマがありますが、共通して取り組めることも多いように感じています。

  • 今後は、治療が必要な従業員の不安を軽減できるよう、制度をさらに改善していきたいと思います。また、そもそも病気にならないことが一番ですので、予防や早期発見につながる取組にも力を入れていきたいです。

(令和8年3月時点)