厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

”治療を続けながら働きたい”社員の要望に対応すべく、治療と仕事の両立支援制度を新設

ファナック株式会社

(左から)
・人事本部健康推進センタ 副センタ長 前田 宜包 氏
・人事本部健康推進センタ センタ長 石川 仁 氏
・人事本部人事部労務課 課長 松尾 祥子 氏

会社名
ファナック株式会社
所在地
山梨県南都留郡忍野村
事業内容
基本技術であるFA事業と、基本技術を応用したロボット事業、ロボマシン事業
設立
1972年7月
従業員数
4,257名(2022年3月現在)
平均年齢
40.3歳 /男女比 男性9.3:女性0.7
産業保健スタッフ
17名

1972年に設立したファナックの本社は富士山の麓、広さ54万坪にわたるファナックの森の中にあります。ファナックは基本技術であるNCとサーボ、レーザからなるFA事業とその基本技術を応用したロボット事業およびロボマシン事業を展開しています。そして、IoT/AI技術をFA・ロボット・ロボマシンの全ての分野に積極的に適用していくことで、お客様がファナック商品をより効率的にご利用いただけるよう取り組んでいます。ファナックはこれらの事業活動を通じて、お客様における製造の自動化と効率化を推進することで、国内外の製造業の発展に貢献していきます。ファナック健康宣言を制定するなど健康経営を推進しており、「健康経営優良法人2023」に認定されています。

治療と仕事の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

近年、診断・治療技術の進歩に伴い、がんをはじめとして「不治の病」とされていた病気も「長く付き合う病気」になりつつあり、治療を続けながら働きたいと望む人が増加しております。当社においてもこうした要望に対応すべく、2018年4月に治療と仕事の両立支援制度を新設しました。

貴事業場において、従業員の両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものがあればお聞かせください。

2018年4月に「治療と仕事の両立支援制度」を新設し、社内イントラネットに治療と仕事の両立支援に関するサイトを掲載し社員に周知しています。

両立支援を行うための仕組みや支援者・支援制度をお聞かせください。

〈相談窓口〉
人事本部人事部内に窓口を設置しています。

〈休暇制度〉
・私傷病時に使用できる積立休暇(有給)は柔軟に取得できるように最大20日間を1時間単位で取得可能です。
・勤続年数に関わらず、がん・結核性疾病の場合は休職期間を3年に延長しています。(がんの場合最長1年9ヶ月→3年)

〈勤務制度〉
・病気治療の為に利用できる、短時間勤務制度を新設しました。
・在宅勤務(手足の麻痺等の身体的症状により通勤が困難な場合や、免疫低下により会社での勤務が困難な場合など)
・障害や疾病の程度により、主治医や産業医の意見を聞きながら、職場の配置転換の検討を行っています。

〈その他〉
・GLTD制度を導入しています。
・健康経営を推進しています。(ファナック健康宣言制定、健康づくり推進員会の設置、健康経営サイトでの情報公開等、「健康経営優良法人2023」認定)

〈体制〉
治療と仕事の両立に不安を抱えて相談窓口に連絡をしてくる社員に対して、相談窓口がまずは話をよく聞き、就業面での不安を少しでも取り除くように心掛けています。産業医や社内カウンセラーに相談できる体制を持っており、チームとしての対応を行っています。

貴事業場の仕事と治療の両立支援の具体的事例(実例・実績)をお聞かせください。

支援の流れとしては、疾病→相談窓口や健康推進センタへの相談→産業医が面談し、就業上の配慮を決定する上で必要な情報を収集するといった流れになっています。

具体例としては、がんの放射線通院治療に「積立休暇」を活用しているケースがあります。また、「短時間勤務制度」を活用して、がん患者については、朝に手足のしびれがあることから始業時間を遅らせる対応をしたケースや腎不全の患者について、人工透析治療のため終業時間を早めて通院しているケースがあります。

社外資源の活用状況(産業保健総合支援センターやキャリアコンサルタントの活用、GLTD導入等)についてお聞かせください。

すでに社内外のメンタルヘルスカウンセラーを配置し、カウンセリング体制を構築しています。
EAP(従業員健康支援プログラム)を2015年4月より導入し、「セカンドオピニオン手配サービス」「受診手配サービス」「24時間電話健康相談サービス」「メンタルヘルスカウンセリングサービス」などのサービスを提供しています。
また、GLTDを2022年12月より導入し、保険料の会社負担分を全社員に適用し、社員が任意で上乗せ分を設定し、保険料を負担しています。

その他特記事項(研修等による意識啓発・労使の協力等)がございましたらお聞かせください。

労働組合とも支援制度の拡充について話し合い、現状の制度で対応できない個別の事例に対しても意見を共有し対応しています。

今後の展望・課題をお聞かせください。

がんの治療経験がある社員より、「治療と仕事の両立は大変だったが、仕事がなければ精神的にもっときつかったと思う。」「仕事に戻りたいというモチベーションによって、辛い治療も乗り越えられた。」という声が寄せられました。
治療と仕事の両立支援として会社として何が出来るかについては、治療中の社員から悩みをヒアリングし、また産業医と相談しながら、今後も検討・対応を進めてまいります。

取組事例一覧