厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

従業員の療養休職をきっかけに就業規則を改定

協和補償コンサルタント株式会社

総務部 主任 島田 貴世子 様(写真右)

会社名
協和補償コンサルタント株式会社
所在地
群馬県高崎市並榎町115
事業内容
技術サービス業・補償コンサルタント、建設コンサルタント、測量設計
設立
1979年11月
従業員数
49名(2023年10月現在)
平均年齢
50歳 /男女比 男性8:女性2
産業保健スタッフ
1名(第一種衛生管理者)

協和補償コンサルタント株式会社は公共事業の用地取得をサポートする「補償」に携わって40年以上の実績を持ち、国家規模のビッグプロジェクトにも数多く携わってきました。強みは「補償8部門完全登録」の対応力で、難易度の高いプロジェクトを動かすことのできるパートナーとして行政や起業者に頼られています。そのノウハウを活かして事業の幅は広がり、建設コンサルタント業務、測量業務の依頼も多数。補償の枠にとどまらない展開で官民を問わずコラボレーションして、安心して暮らせるまちづくり、快適な生活環境の整備に貢献しています。

治療と仕事の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

病気療養のため長期休職した従業員がいたことから、復帰のためには十分な期間と支援が必要と考え、2022年9月より取組を始めました。

従業員の両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものがあればお聞かせください。

基本方針「治療と仕事の両立支援に関する相談窓口」を社内通路に掲示し、また社内ネットワークにも掲載して従業員に周知しています。
これをもとに社内外に相談窓口を設置し、定期的な情報提供と受診勧奨を行っています。また、健康情報取扱規程により不利益取扱禁止やプライバシー保護等を規定しています。

両立支援を行うための仕組みや支援者・支援制度をお聞かせください。

<相談窓口>
衛生管理者を窓口として、従業員の意思を尊重しながら社会保険労務士に相談しています。その上で個々の状況に合った両立支援プランを作成し、必要に応じて産業保健総合支援センターの保健師や医師に相談できる体制を整えています。
<休暇制度>
時間単位で取得できる有給休暇は2010年度からあり、通院などに活用しています。2023年度より失効する有給休暇を最大30日積み立てられる失効積立年休制度の運用を開始しました。

貴事業場の治療と仕事の両立支援の具体的事例(実例・実績)をお聞かせください。

2017年にがんで療養のため休職していた50代従業員が休職期間の12か月で復帰できない事例がありました。有給休暇(時間・半日・1日)を利用しながら通院治療や休養を経て復職しました。復職後は現場作業は難しいという判断からデスクワークのみで、休憩時は横になって休んでもらう、体に負担のある仕事はさせない等、配慮するような対応を指導・周知しました。周囲の協力もあり、定年退職まで仕事を続けてもらうことができました。
2014年に1名、2017年に2名、2022年に2名 いずれも50代の従業員が、がんの手術及び入院のため長期休暇を取得することが続きました。従業員の高齢化に伴い、今後も同様のケースがあることを想定し、社会保険労務士に相談したところ、厚生労働省の『事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』をもとに指導を受け、がんや特定疾患等の治療内容を踏まえ、協議の結果、現状12か月の休職に3か月の延長を加える等、2017年に就業規則を改定し、2023年に失効積立年休制度の運用を開始しました。積立日数や積立人数が増えていくことで『病気になった時に休んでも大丈夫』という安心感につながり、継続して治療と仕事の両立ができるようにサポートしていけると思います。

社外資源の活用状況についてお聞かせください。

健康診断結果に異常があった従業員の中から希望者に、産業保健総合支援センター保健師の訪問支援による保健指導を実施し、重症化予防に努めています。

その他特記事項(研修等による意識啓発・労使の協力等)がありましたらお聞かせください。

がんを経験した従業員による寄稿を『がんと診断されたとき』という社内報にまとめ、回覧周知しました。それにより禁煙に踏み切ったり、受けていなかった検診(がんなどの特定の病気を早期発見するための二次検診や任意の自治体のがん検診など)に行った従業員がいます。同僚からの経験談は、より身近に感じ意識啓発になったようです。また、『お互い様風土』の醸成には社員間のコミュニケーションが欠かせないことから、各種交流イベントを開催し職場の活性化に努めています。

両立支援に取り組まれたことによって生じた良い効果についてお聞かせください。

休職期間の延長や失効積立年休の開始など、病気になっても安心して働ける環境づくりが進みました。病気にならないためのヘルスリテラシー向上の取組促進や、病気を早期発見・早期治療するために、会社が費用を100%負担して女性従業員全員の乳がん・子宮がん検診と、45歳からは年齢の上限を定めず、3年に一度の人間ドックを行っています。また、35歳・40歳の節目年齢の従業員も対象に入れ、人間ドックを受けられるようにしました。そのほか受診勧奨の徹底などの取組も促進され、従業員の健康意識も向上しました。
治療と仕事の両立支援に取り組んだことにより、周囲の従業員にも『病気になっても働ける職場』という安心感に繋がり、雇用の維持ができるようになったと思います。

今後の展望・課題をお聞かせください。

個人の状況に合わせた両立支援ができるように、時短勤務や隔日勤務、試し出勤などの試行的・段階的な勤務制度を充実させる必要があると考えています。また、持病や障がいがあっても安心して意欲的に働き、能力を十分に発揮できる会社として、職場環境の更なる充実を目指しています。

取組事例一覧