両立支援の取組事例
既存の制度を整備して、手厚い支援へ
川崎重工業株式会社 川崎車両株式会社 カワサキモータース株式会社

川崎重工業株式会社 神戸本社
- 会社名
- 川崎重工業株式会社 川崎車両株式会社 カワサキモータース株式会社
- 所在地
- 兵庫県神戸市中央区東川崎町1丁目1番3号
- 事業内容
- 航空宇宙システム事業、車両事業、エネルギーソリューション&マリン事業、精密機械・ロボット事業、パワースポーツ&エンジン事業及びその他事業。
- 設立
- 1896年10月15日
- 従業員数
- 18,896名(川崎重工・川崎車両・カワサキモータース) (2023年3月末現在)
- 平均年齢
- 38.7歳 /男女比 男性10:女性1
- 産業保健スタッフ
- 約50名
船舶・鉄道車両・航空機など多彩な事業を展開する、川崎重工業株式会社。2030年に目指すべき企業像として、「つぎの社会へ、信頼のこたえを」というビジョンを制定し、自らの可能性を拡げ成長し続けています。女性活躍推進や、仕事と育児・介護の両立支援、ワークライフバランスや成果・効率を意識した働き方の実現などの活動に取り組み、治療と仕事の両立支援も推進しています。
- [主な事業内容]
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- 航空宇宙システム事業(航空機、航空機用エンジン、宇宙関連機器等の製造・販売)
- 車両事業(鉄道車両、除雪機械等の製造・販売)
- エネルギーソリューション&マリン事業(エネルギー関連機器・システム、水素関連設備、舶用推進関連機器・システム、プラント関連機器・システム、船舶、破砕機等の製造・販売)
- 精密機械・ロボット事業(油圧機器、産業用ロボット等の製造・販売)
- パワースポーツ&エンジン事業(二輪車、オフロード四輪車(SxS、ATV)、パーソナルウォータークラフト(PWC)「ジェットスキー」、汎用ガソリン、エンジン等の製造・販売等)
当社には、以前から治療と仕事を両立するための社内制度はありましたが、社内での認知度が低く、2016年に厚生労働省より「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」が発出されたことで、当社内の課題が浮き彫りになりました。この課題への取り組みにより、従来の社内制度を「仕事と育児・介護の両立支援」と同じように、「治療と仕事の両立」も支援できるよう環境を再度整えました。また、実際に人事部門に大きな病気を経験した従業員が在籍しており、当事者としてどのような手助けが必要かなどの意見を取り入れつつ、各事業所・事業部門の担当者からの課題感なども拾い上げながら制度の周知を図り、取り組みを推進しています。
実際に通院している、または体調に不安を抱いている従業員が、定期的に産業医と面談を行いながら仕事を続けるケースが当社では増えています。例えば、それぞれの病気や症状によって就業上の配慮が異なるため、フレックス勤務や積み立て休暇など個人の事情に合わせて活用できるようにしています。また、就業により病気が悪化することがないように、医学的知見からも適切な業務配慮が行えるような手引きを従業員用に整備しました。本人の意志をできるだけ尊重しながら、“安全に、安心に、健康に”働いてもらえるように会社全体でフォローアップ体勢を築いています。
制度が充実しても、活用されなけあれば意味がありません。そのため、従業員への周知として、社内のイントラネットの育児や介護と仕事の両立支援のカテゴリーに、「治療と仕事との両立」に関するページを追加しました。両立支援に関する社内制度の情報のほか、治療中の従業員をサポートする側の上司や同僚社員に向けたアドバイスや心構えなども発信しています。この社内イントラネットの制作についても、当事者の思いを拝聴し病気になっても不安の解消につながるような情報を盛り込むことを意識しました。
一方で、生産現場で働く従業員は会社のイントラネットにすぐにアクセスできないという課題がありました。そこで、社内アプリにも情報を掲載しいつでも自分のスマホから情報を確認できるようにしました。加えて職場内でのサポート体制の構築には、職場の理解が重要であり、当事者から情報の「伝え方ハンドブック」の作成や、周囲の同僚や上司の目線で必要とするサポートのイメージがつきやすいような情報も併せて周知するなど、職場の理解が進みすべての従業員が適切なタイミングで制度活用できるよう、環境づくりも行っています。
健康上の問題を抱えた従業員が相談する相手はさまざまです。直属の上司であったり、健康診断時の産業医であったり、または労務関係から人事部門に相談するケースもあります。そのため、当社では特定の相談窓口を設けるのではなく、困ったことがあれば、どこにでも相談できるスタンスを取り、相談自体のハードルを下げることで、気軽に相談できる雰囲気づくりを進めています。
また、相談の入口が増えることにより、各部署間の横の連携をより密にする必要もあります。人事部門で受けた相談が健康問題であればすぐに産業保健部門へ情報を共有し、健康問題が働き方に関われば人事部門につなぐなど、状況に応じて部門間で連携することが必要不可欠です。より本人にとって治療と仕事を両立しやすい環境を整えるためにも、本人の意思や思いを大事にしながら細やかな連携やコミュニケーションを取るようにしています。
病気を患い治療が必要となった場合、本人、上司、人事部門などを含めて面談を行い、働き方の見直しや、業務上で可能な配慮を検討するなど、どのような方針が本人にとってベストな支援になるかを、様々な角度から吟味することが重要と考えています。
健康でなければ質のいい仕事はできません。従業員一人ひとりが培った技術や経験を今後も発揮してもらうためにも、従業員の健康を保つことは会社の重要な役目です。従業員の健康を守るために、今後も治療と仕事の両立支援に取り組んでいきます。
取組事例一覧