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両立支援の取組み事例

社員とその家族も大切にする社風。「幸福度№1企業」という目標を掲げ治療と仕事の両立支援に取り組む社員とその家族も大切にする社風。「幸福度№1企業」という目標を掲げ治療と仕事の両立支援に取り組む

 白鷺電気工業株式会社は1947年2月に創業した電気工事会社で、熊本市内を中心に地域のくらしと産業を支えている。

定年を迎える3か月前に、がんと診断された社員

 総務課の原之園淳子氏は「上司も同僚もまるで家族のように、日々の業務を支え合っている社風が自慢です。その上、社員旅行や忘年会などの社内行事には家族を招待するなど、社員はもちろん、家族も大切にする社風があります」と、胸を張る。

 社員旅行は「ふれあい旅行」と名付けられ、毎年学校が夏休みに入って最初の週末に行われる。その理由は、会社が、社員を支える家族に対しても感謝を伝えたいという考えからだ。その社員旅行で、忘れられない出来事があったと原之園氏は振り返る。

 ある社員ががんと診断されたのは、ある年の10月のこと。翌年1月に満60歳を迎えるその社員は、定年退職を控えていた。検査入院を経て手術、術後の自宅療養で2カ月半ほど休暇を取得。有給休暇はすべて使い切ったため、傷病手当金の手続きを取った。2月には職場復帰したが、その間に満60歳を迎えたため、退職・再雇用社員となったという。

 原之園氏は「その社員と背中合わせの席でした。電気工事に必要な資格をすべて取得済みだったため、若い社員へのアドバイスや試験問題の解き方について笑顔で応えていました。さらに、ご自身は新たにコンプライアンス検定の勉強をはじめていました」と、常に前向きな姿勢に刺激を受けていたと振り返る。

 仕事復帰から1年半の間、2週間に1回の抗がん剤治療を続けていたその社員は、夏の社員旅行への参加を目標に、治療と仕事の両立に励んでいた。 「上司や同僚からは、少しゆっくり休んでもいいのでは? と言われた時も、『家で寝ているくらいなら仕事をしていたい』と言っていました。そして無事、ご家族と共に社員旅行への参加を実現されました。旅行から帰ってきてご家族と喜び合ったそうです。そして、『今度は少し身体をゆっくりさせよう』と話し合われて、翌日は通常通り勤務しましたが、その翌日に入院されました」と、原之園氏は語る。社員旅行から1週間後、その社員は亡くなってしまう。

会社として、何かできることはないか

 訃報を聞いた社長は「会社として、何かできることはないか」と、新たな両立支援を準備。就業規則を改定し、社員が病気になっても治療を続けながら仕事に取り組むために「病気積立休暇」を新設し、すぐに全体朝礼や社内グループウェアで全社員に案内された。

 病気積立休暇の目的は、有給休暇だけでは足りない分を補うことだ。具体的には、前年度から当該年度へ繰り越した休暇日数で、当該年度限りで消滅する休暇のうち1年について5日を上限に、20日までを限度として積み立てることができる。病気の治療はもちろん、家族(配偶者及び1親等の親族または同居の親族)の介護にも対応される休暇だ。

 この制度ができたおかげで、がんなどの大きな病気をしたときに、有給休暇と合わせて最大60日の休暇を取得できる。「入院や自宅療養、その後の治療などと仕事の両立を、少しでも安心できるようにとの願いを込めて作られた制度です」と、原之園氏は語る。  また、福利厚生の一環として、がん保険など5つの保険に会社で加入している。

社内両立支援コーディネーターの役割は大きい

 原之園氏も新たに行動をおこした。そのひとつが、両立支援コーディネーター基礎研修の受講だ。
 「両立支援コーディネーター基礎研修では“両立支援コーディネーターの実践”と題して、いくつかの事例をもとに支援方法のシミュレーションを行いました。参加者は、企業からだけではなく、医療関係者も多く、様々な立場の方と活発なグループ討議ができて、とても有意義でした」と、微笑む。「両立支援を受ける社員と話し、心に寄り添い、不安を取り除く。そんな社内両立支援コーディネーターの役割はたいへん大きなものになると感じました」と続ける(下記の図参照)。


 そんな原之園氏が考える、今後のビジョンも明確だ。
 「これからも中小企業ならではの柔軟な対応と配慮、会話を大切に支援していきながら、今後は社員が困った時に役に立つ「ガイドブックの作成」にも着手したい」と次の目標を語る。

 これからも、社員とその家族の幸せを第一に考える社風を基礎に、人を大切にして、人を育てる企業として、さらに前進しつづける白鷺電気工業株式会社。来たる100周年を見据えて、社長と社員は “こんな会社になりたい、なっていたい”という100年企業としての白鷺電気工業の姿を構想中だ。きっと、さらなる治療と仕事の両立支援の取組みも思い描かれているに違いない。

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