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両立支援の取組み事例

社員の顔が見えることは中小企業の強み。本人の意思を尊重した柔軟な対応が欠かせない社員の顔が見えることは中小企業の強み。本人の意思を尊重した柔軟な対応が欠かせない

 1989年に創業し、電気設備工事業を営む同社は鳥取県倉吉市に本社を構え、北栄町と境港市に支社を置く株式会社エナテクス。従業員38名(グループ会社を含む)の平均年齢は43歳。このうち33名を男性社員が占めている。当社の治療と仕事の両立支援に関する取組事例をご紹介する。

3年連続で健康経営優良法人に認定

 同社は2017年度より3年連続で健康経営優良法人(中小企業法人部門)に認定され、協会けんぽによる「健康経営マイレージ事業」でも知事表彰を3回受賞するなど、健康経営に努めてきた。総務部課長の坂元恵氏はこれらのメリットについて「社外に向けて当社のPRになったことは間違いありませんが、一番は社員の健康意識が向上したことだと感じています。特に喫煙者が激減しており、自らの健康管理に目を向ける社員が増えています」と話す。

両立支援の難しさは「一人一人に寄り添った柔軟な対応」が求められること

 こうした同社の健康経営の姿勢から、治療と仕事の両立支援にも自然と取り組むようになった。坂元氏が所属する総務部では、治療に限らず、育児、介護も含めた両立支援に対応する相談窓口を設けている。同社の治療と仕事の両立支援の方針は以下のとおり。


 この3点を意識して、既存制度を適用し、対応に当たっているという。
 「例えば、治療に伴う入院などまとまった休みが必要なケースでは、年次有給休暇または健康保険傷病手当金を検討し、本人にとってよりよい方法を提案します。継続的な治療が必要なケースでは、短時間勤務制度を適用しています。有給休暇は、30分単位で取得できるようにしており、通院のために少しの時間だけ仕事を抜けたいときにも有効活用できます。さらに、自宅療養と仕事の両立を図れるように、新たにテレワーク制度を導入しました」(坂元氏)

 ただ、一人一人に寄り添った柔軟な対応が必要な中で、それぞれ病状や状況の異なる規定の整備に難しさを感じているという坂元氏。それでも両立支援に真摯に取り組むことで「社員の人生を大切にしたいという会社の思いを伝えることができ、それが人材の損失防止につながります」と、意義を語る。

がんになっても継続して働きたい

 実際に、治療と仕事を両立させた社員もいる。同社専務取締役である宮本博文氏は、膀胱上皮内がんの腫瘍除去手術後、1週間の自宅療養を経て、職場に復帰した。相談窓口は、宮本氏の病状の現況、今後予想される症状を病院に確認をして、本人の希望を最優先で、「柔軟な両立支援」を進めていった。例えば、当初は体調を見ながら出勤する「フレキシブル勤務」としていたが、ふさぎ込んだり、身体がだるいなどで早退が増えたため、週3日の「午前中勤務」に切り換えた。

 その後、宮本氏は膀胱内組織検査で完全寛解が確認され、一時は通常勤務に戻ったが、膀胱にがんの進行が確認され、全摘出と回腸導管増設術を行うことになった。宮本氏は現在、週3日の午前中勤務、全日午前中勤務、フレキシブル勤務と段階的に勤務形態を調整し、半年ほどで、ほぼ元通りの勤務ができるようになった。宮本氏はこれまでの自身の経験を踏まえ「一番心配したのは仕事のことだった」と振り返り、こう語る。

 「会社の皆さんに感謝しています。従来からチームで仕事に対応する環境づくりを大切にしてきたこともあり、安心して治療に専念できました。そのことは私にとって一番の『クスリ』となりました。治療や入院等によって、会社(部署内)の情報から完全に遮断されることはよくありません。療養中も負担がない範囲で、部署内でコミュニケーションを取るようにしたため、会社とのつながりを持ち続けることができ、治療の励みにもなりました」(宮本氏)

 こうした両立支援の旗振り役である坂元氏は、次のように話す。
 「中小企業の強みは、社員一人一人の顔が見えるところ。仕事をする場のあることが、治療の励みとなり、復帰後、生き生きと働くモチベーションにつながります。両立支援のベースでもある『健康づくり』は、社員にとっても会社にとっても未来への投資と捉え、まずは病気にならない取り組み、病気の早期発見・早期治療ができる環境づくりを続けていきます。そして、働き方について柔軟に対応するという企業文化をさらにブラッシュアップできるよう社員の声に耳を傾け、社員の姿に目を配り、多様な働き方を考えていきます」(坂元氏)

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