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両立支援の取組み事例

両立支援は「心のケア」も大切。具体的な復職支援によって本人の自信回復を図っていく両立支援は「心のケア」も大切。具体的な復職支援によって本人の自信回復を図っていく

 株式会社四国銀行の創業は1878年。「地域の金融ニーズに応え社会の発展に貢献する」という企業使命の下、地域密着型の金融機関として活動している。現在まで、代理店を含め110店舗を展開。従業員は1361名に上る。治療と仕事の両立支援について、同行の取組事例を紹介する。

平成30年、健康経営宣言を策定

 同行では、2018年4月に「従業員およびその家族の健康は、企業にとって大切な財産であり、守るべきものである」という考えを明確に打ち出し、「健康経営宣言」を策定した。以降、3年度連続で健康経営優良法人ホワイト500にも認定されている。

 両立支援に力を入れるきっかけについて、同行の人事部健康推進室主任の川上美紀氏は次のように話す。
 「従来、社員の病気による休暇や復帰後の通院など、必要に応じて個別に対応していましたが、主治医との連携や配慮すべき状況などについて、十分とは言えない状況でした。そこで両立支援への取り組みを本格化するため、『治療と仕事の両立支援のためのガイドライン』に沿って、勤務状況に関する情報提供書を主治医へ提出し、主治医による意見書をいただくようにしました。また、がんや脳卒中などをはじめ、傷病を抱えた社員の治療と仕事の両立支援に加え、2019年4月からは家族の育児や介護、不妊治療においても、仕事との両立を支援する取り組みを始めています」

サポートBOOKの作成・活用で従業員の認知を促す

 「病気の治療」「育児・介護」「不妊治療」の3領域で両立支援に取り組む同行では、3領域共通で短時間勤務制度を導入し、「病気の治療」「不妊治療」には積立休暇制度も適用。さらに「病気の治療」に活用できる新制度として、テレワークも現在試行中だという。例えば、病気の治療との両立支援では、積立休暇制度などの休暇(最大60日間)および年次有給休暇を消化し、それ以降は欠勤制度・休職制度を活用して、治療に専念、復帰後も短時間勤務制度等を活用して無理なく働き続けられるように支援している。

 一方で2014年10月には、「女性がチャレンジ・活躍できる場を広げ、意欲ややりがいを持って働ける風土をつくるとともに、女性の視点を生かした商品開発や営業体制の構築により、一層の顧客サービスにつなげる」という目的を掲げて発足した女性活躍推進委員会「Cheer!」の声によって「結婚・出産・育児・介護等に関するサポートBOOK」(図1)を作成しており、この活動も治療と仕事の両立支援につながっている。

図1 結婚・出産・育児・介護等に関するサポートBOOK(介護・傷病編の目次)

 このサポートBOOKには、会社のサポートの内容、活用できる社内制度、相談できるウェブサイトなどがまとめられている。同社のイントラネットからいつでもアクセスすることができ、従業員の認知拡大のためのツールとしても機能している。

職場復帰のための不安を取りのぞくための支援

 同行で両立支援を推進しているのが、「健康経営宣言」策定の前年に当たる2017年8月に人事部内に設置された「健康推進室」だ。治療と仕事の両立支援についてもこの健康推進室の管轄で進めている。現在は産業医1名、保健師2名、事務1名で構成され、主に以下の流れで支援を行っている。

 1、 申請 …休暇または短時間勤務の申請、様式の提出
 2、状況確認…本人からの両立支援の申し出、主治医による意見書などの提出
 3、職場復帰…両立支援プランの作成、産業医による面談、保健師などによるフォロー

 過去、脳血管疾患からの復職を果たした男性のケースでは、身体の一部に後遺症が残る中、職場復帰前のリハビリからサポートを行った。

 「本人から職場復帰の意向があり、主治医による診断書で病状を把握するとともに、人事担当者や保健師で面談し、より詳しい状況を確認しました。その結果、復帰に当たり、医療機関のリハビリを継続しながら、後遺症が残る中、仕事ができるよう職業訓練を行っていくことになりました。本人に不安なことをヒアリングしてみると、『リハビリに励んでいるが、本当に職場復帰できるのか』ということを特に不安に感じていました」

 そこで、より詳細に障害の程度を把握するとともに、実施に復職に必要なスキルを身に付けるため、高知県障害者職業センターの職場復帰支援(リワーク)プログラムを一緒に見学し、利用することになった。具体的には、週1回、パソコン入力や基本的な作業を通して、後遺症が残る部分の影響や集中力、作業能力を確認。この結果を見ながら、復帰時に社内で就労支援を開始するという流れで進めていった。

 「この流れの中での目標は、正確な作業ができる内容を見つけること、そして、注意力を高めるとともに注意力を維持するために必要な要素を検討すること、自身のストレスサインに気付き対策方法を取得することでした。同プログラムを得て、本人も職場復帰の自信を少しずつ回復していったように思います」

本人の気持ちに寄り添いながらサポートしていくことが重要

 さらに、通勤訓練を行うことで、公共交通機関を利用して安心して安全に通勤できるようにサポートするとともに、所属長に必要な配慮を説明することで、周囲の環境(職場の仲間などの心構え)も整えた。現在、同プログラムにより片手でのパソコン入力を習得し、ごく一部は介助が必要になるが、業務を行っている。食事や休憩などは自分で適宜とることができるという。

 「現在もやりがいをもって生き生きと働いています。その男性社員の言葉で印象的だったのは『仕事を辞め、社会とのつながりがなくなることは何よりもつらかった』『職場復帰する目的があったからこそ、つらいリハビリも乗り越えられた』というものでした。その方の気持ちに寄り添いながら、サポートしていくことの重要性を実感しました」と、川上氏は述懐する。また、最後にこう付け加えた。

 「両立支援は、あくまで本人の希望がスタートです。ただ、そこを起点に取り組みを続ける際、体制づくりや制度周知・周囲の理解が不可欠です。サポートBOOKは作成していますが、今後は当行においても、制度をより明文化したガイドラインなどの策定・整備を進めていきたいと考えています」



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