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両立支援の取組み事例

「職場でも家庭でも従前と変わらぬパフォーマンスを発揮してもらいたい」この思いで、両立支援に取り組む「職場でも家庭でも従前と変わらぬパフォーマンスを発揮してもらいたい」この思いで、両立支援に取り組む

 佐賀県唐津市に本社を構える昭和自動車株式会社は、1937年に設立した路線バス・貸切バス・タクシーの運行会社。「企業は人なり」という企業理念の下、公共交通事業者としての地域社会貢献を目指している。従業員はおよそ800名。このうち運転士が半分以上の約500名を占めている。そんな同社は本部の安全衛生委員会を通して、健康・安全施策を強化した。治療と仕事の両立支援について、当社の取組事例を紹介する。

安全衛生委員会の活用により、両立支援を設計・運用

 安全衛生委員会の役割は、労働災害発生状況の原因分析・対策から、危険有害作業のリスクアセスメント、メンタルヘルスケア対策、定期健康診断、ストレスチェック診断の実施と結果のフォローなど多岐にわたる。両立支援に関しては、毎月1回、拠点ごとに配置した衛生管理者(所属長が担当)を本部に集め、長期休職者の有無を把握することで、必要な時に迅速に動けるように備えている。また、復職に向けてのプログラムもこの場で報告され、意見交換を行っている。

対話を重ね、本人と家族の意思を尊重した両立支援を実施

 同社では2016〜18年度、従業員在職中の疾病治療(1週間以上の休業を伴う疾病)が総計115件発生した。このうち17件は、がんを煩ったケースだが、大半が治療後速やかに復職できたため、実際に両立支援が必要になったのは2人。その方々がいたことが、両立支援に取り組むきっかけとなった。

 「そのうちの1人は、ステージ4の大腸がんと診断された方です。抗がん剤治療を受け、根治が厳しいという現実と向き合いながら、ご家族とも話し合い、可能な限り働き続けることを希望されました」と清水氏は振り返る。

 「基本的には主治医や産業医の意見を参考にしながら、衛生管理者が本人と連携し、そこに労務担当や総括安全衛生管理者が加わって、具体的な両立支援プランを作成。その結果、『治療しながら従来の業務内容を続けることが可能』と判断し、そのまま仕事を続けていくことになりました」

 他方で、家族とも対話を重ねたところ「本人の意思を最大限尊重すること」を強く望まれた。同社員は情報システム開発に従事しており「自分が開発した情報システムおよびプログラムなどを、責任をもって後継者へ引き継ぐこと」を望んでいたという。

 「そこで、後継者育成のため情報システム部門を2名増員しました。本人に対しては、週2日間程度の治療日休暇や就業時間短縮などの施策で配慮を行い、就業中は急な体調の変化に備え、絶対に1人にさせないよう複数のスタッフでサポートを行いました。また常に主治医・ご家族とコミュニケーションを図るとともに、もちろん本人ともきちんと対話を重ね、あくまでも治療を優先しながら就業してもらうことを心掛けました」

治療・家族・職場の状況などを総合的に考え、柔軟な対応が大切

 当該の社員は2019年2月に逝去した。後日、家族からは「最期まで働かせてもらったこと」を深く感謝されたという。
 「このケースを通じて、治療方法や家族の状況、職場の状況など、両立支援を必要とする従業員がおかれている状況はさまざまであること、そして画一的な制度設計だけで両立支援に対応していくのは非常に難しく、その都度、総合的に考え、柔軟に対応していく必要があることを再認識しました。社内における両立支援の普及については、実際に両立支援により復職した人が増えていくことで、自然と社内の周知にもつながっていくことでしょう。治療をしながら仕事を続ける従業員が、職場でも、そしてご家庭でも、でき得るかぎり従前と変わらぬパフォーマンスを発揮できるよう、そして何より本人の幸福を第一に考えていく。この思いで今後も一つ一つのケースに向き合いしっかり対応していきます」

©Ministry of Health, Labour and Welfare