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両立支援の取組み事例

両立支援のベースは約10年間かけて整備した「休みたい時に休める」体制づくり両立支援のベースは約10年間かけて整備した「休みたい時に休める」体制づくり

 土曜日も含め週6日間開園が運営の必須条件である認可保育園は、平日は全園児が、土曜でも約半数の園児が登園するため、職員は休みが取りにくいという課題を抱えていることが多い。こうした認可保育園特有の課題を抱える中、みどり保育園の園長の井手氏は2008年度から改革に乗り出し、「休みたい時に休める保育園」を実現している。本園の治療と仕事の両立支援の取組について紹介する。

「休みたい時に休める」ことで治療をしながら仕事を続けられる

 「深刻な保育士不足という課題に加え、ベテラン保育士へのニーズの高さを感じていました。この二つの背景から、『長く働き続けられる』ための整備を進めてきました。具体的には、職員を多めに雇い、有給休暇を100%取得できるようにするとともに、有給休暇だけでなく、日曜日・祝日以外の所定休日も全て職員本人が選べるように、代わりの職員を用意しています。そのため、病気にかかっても治療を続けながら働ける環境になっていました」

 そうした環境の中、実際に治療と仕事の両立を望む職員(生活習慣病による入院と治療)が現れ、本格的に取り組むきっかけとなった。
 「事例の職員が有給休暇と所定休日を連続して取得することで17日間の入院治療をしていた時に、私がお見舞いに行くと本人が『迷惑をかけて大変申し訳ない。仕事は続けられるのだろうか』という不安を口にしました。そこで、私が『当園の休みの多さと休みを選べるという仕組みを利用すれば、通院しながら仕事は続けられる』ことを伝え、両立支援によって、勤務を継続することになりました」

職員本人の希望を聞き、勤務日数と配属先を変更

 職場での配慮としては、週5日から週4日の勤務に変更すると同時に、心理的・肉体的な負担が比較的少ない0~2歳児クラスの複数担任の一人として勤務することにした。その後も、毎月の日曜・祝日以外の所定休日を本人が選べるため、無理なく通院(治療)と仕事を両立できている。

 「職員本人の希望を聞きながら、勤務日数と配属先を決めました。このケースでは、当園が認可保育所であり土曜日勤務があるため、平日に休みが取りやすいということが、良い方向に働きました。そのままの体制で両立できるようになっていたため、本人から『職場側が、主治医と連携したり、両立プランを作成したりする必要はない』という趣旨の申し出がありました。職場としては、病状の経過を本人から常にヒアリングし、治療の状況を把握しています」

 治療と仕事を両立できる職場づくりは、副次的な良い効果をもたらしている。
 「体をリフレッシュできるようになったためか、保護者の皆様から『職員が元気になった』という声をいただくようになりました。それに伴い、職員や園児数も増加しています。職員の労働効率も向上したことから、園児のけがも少なくなりました。事前に休みを選択できるため、自己管理が徹底され、職員の当日欠勤も減りました」

両立支援にはこれから本格的に取り組むことになる

 「私が園長になってからの過去12年間で、長期の入院・通院が必要な病気にかかったのは、事例の職員1名のみ。両立支援の周知はまだ進んでいませんが、毎年、多くの職員が自分で自由に連休を取っているので、両立支援の申し出がしやすい環境は、整っているでしょう。実際に、職員が軽い病気にかかった場合は、私に申告し、平日・土曜日を問わず、通院しています。必要な時にいつでも治療できる環境を整えることは、病気を悪化させないことにもつながり、両立支援のベースになると思います」

 同園は、2013年度からは正社員の定年退職年齢を65歳に引き上げ、65歳以降も労使双方の合意により、勤務を継続できるようにした。ベテラン保育士は保護者からの信頼も厚く、これからもなくてはならない戦力だからだ。高齢の職員が増えれば、フルタイムではない働き方や、病気の治療が必要になるケースも増えるため、今後はさらに両立支援への対応が必要になると考えている。

 「今後は、週4日勤務の正社員制度の導入も計画しています。週4日勤務であれば、健康保険に加入でき、傷病手当金の活用も可能であるため、治療と仕事の両立支援がより実現しやすいからです。一方、週4日勤務ができない職員は、健康保険に加入することができず、何らか別の支援が必要になるでしょう。また、両立支援が必要なさまざまなケースを考えていくに当たっては主治医等と連携し、両立支援プランの作成にも取り組んでいきたいです」

©Ministry of Health, Labour and Welfare