厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

社内で両立支援チームを立ち上げ
外部資源を活用しながら復職をサポート

第一電機工業株式会社

執行役員 総務部長
宮永 守

会社名
第一電機工業株式会社
所在地
石川県金沢市
事業内容
建設業
設立
昭和28年3月13日
従業員数
195名
(2020年12月1日現在)
平均年齢
40.3歳/男女比 男性9:女性1
産業保健スタッフ
2名

電気設備などの総合設備工事を請け負う石川県の第一電機工業。健康優良法人2020にも選定されています。
今回、社員の膠原病罹患を契機に両立支援に取組始めました。産業医、産業保健総合支援センターの協力を得ながら社内で支援チームを立ち上げて両立支援のルール・制度を練り上げ、在宅勤務でのフルタイム復職を実現しました。

第一電機工業が取り組んだ両立支援を具体的に教えてください

私ども建設業では、労働人口の減少とともに従業員の高年齢化が進んでいます。 他人事ではなく、社員が安心して長く働けるようにしなくてはならないという思いをずっと持っていましたが、それまでは社員が病気になった場合は、社内規定に基づき有給休暇、休職制度でその都度対応しており、治療の経過によっては自主退職をされるようなこともありました。

2018年に40代の社員が膠原病(皮膚筋炎、間質性肺炎)を患って入院したことから、当社の両立支援の取組が始まりました。 入院は約7か月の長期にわたりましたが、その間は毎月本人から上司へ病状と検査結果(抗体価)をメールで報告しておりました。 病状が改善するとともに本人の就労意欲が強くなり、所属部門からも復職要望があり、会社としてどうやって復職をサポートしていくか検討しました。
まずは、総務部長、衛生管理者、総務課担当者、工事部門長、直属上司の5名による「支援チーム」を立ち上げました。 厚生労働省のガイドラインやマニュアルを参考に、両立支援の制度を自社で取り入れるための準備を開始しました。そして、石川産業保健総合支援センター(以下「産保センター」)や社会保険労務士からの助言を受けつつ、自社の両立支援マニュアルを作成しました。
本人が退院し、自宅療養(毎月2週間の点滴入院)に入った段階で主治医から治療をしながらの就業の可否について意見書をいただき、社内で両立支援への取組を合議した後、本人と支援チームで面談を行い、まずは試し勤務を在宅で開始しました。

最初は週2〜3日、3〜6時間にて1か月間試し勤務で様子をみました。そして、正式な復職に向けて産業医と面談し、本人からの復職の申出を受けて、1か月ごとの復職プランを立て、まずは1か月週3日で1日6時間の在宅時短勤務で復職しました。
その約半年後には、フルタイムでの在宅勤務に移行し、現在も元気で在宅勤務をしており、月1回の通院の結果も支援チーム内で共有しています。
なお、在宅勤務で使用するパソコン、CAD(コンピューターによる設計支援ツール)ソフト、スマートフォン等は会社から貸与しており、光熱費等などの環境整備費用も一部会社が負担しています。

在宅勤務での復職としたのは、どのような経緯からでしょうか?

それまでは在宅勤務の規程がなく、この取組で初めて在宅勤務制度を立ち上げました。今回の病気は免疫系の疾病であったため、感染症のリスクを考えると在宅勤務がベストと判断しました。
また、本人にCADのスキルがあったため、スムーズに在宅勤務が可能だったということも在宅勤務に移行できた理由の1つです。

今回の両立支援への取組で得たものはどのようなものでしょうか?

会社として両立支援の方向性が明確になりました。就業規則にも両立支援の条文を追加し、会社としてしっかりと復職支援をすると明記しました。
社員向けに「仕事と両立支援について」「両立支援のマニュアル」などのマニュアルを新しく作成し、試し出勤実施規程や在宅勤務規程も整備しました。社内イントラネットでこれらのマニュアルは共有され、ポスター等の掲示もしています。



また、2020年度は当社から両立支援コーディネーター養成研修を1名受講し、来年度も1〜2名の受講を予定しています。
今回の取組は、支援チームの立ち上げからスタートし、会社上層部の理解があってなし得たものです。そこには産保センターや産業医、社会保険労務士からの協力も大きいものでした。
まだ両立支援のスタート地点に立ったばかりですので、この経験を活かして、今後は健康診断(受診率100%)、ストレスチェック等とリンクした従業員の健康管理、両立支援、会社としての健康経営に取り組んでいきたいと思います。


取組事例一覧