厚生労働省

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両立支援の取組事例

多職種一丸となって 両立支援をサポート

有限会社九州松栄産業 しょうぶ苑グループ

【取材ご対応】
常務取締役
合志 明展
畑野 真紀
加來 敬博
(写真は右から合志氏、加來氏)

会社名
有限会社九州松栄産業 しょうぶ苑グループ
所在地
熊本県熊本市
事業内容
介護事業
設立
平成17年7月
従業員数
410名
(パート・アルバイト含む/2020年12月現在)
平均年齢
約50歳/男女比 男性2:女性8
産業保健スタッフ
5名(グループ全体)

熊本県で有料老人ホーム等介護福祉施設を3施設運営するしょうぶ苑グループ。看護師、介護福祉士、ケアマネージャー、理学療法士など、さまざまな多職種が介護のプロとして関わっています。
そんなグループ内の江津しょうぶ苑で働くケアマネージャーが脳出血で倒れたのは、令和元年12月。以降、さまざまな職種(職員)が積極的に関わりながら両立支援を行っています。

しょうぶ苑は介護施設を運営されています。両立支援に関しても豊富な知識をお持ちだったのでしょうか。

しょうぶ苑グループは、18〜80歳までの職員が在籍していて、その形態も正社員からパート・アルバイトまでさまざまで、時短勤務や夜勤専従など、多様な働き方に対応しています。
利用者と同じように、職員に対してもその生活が豊かになるような働き方を推奨していますが、両立支援に関してはそれまでも個人の症状やペースに合わせた支援を行っており、実際に疾患のある方も働かれています。
制度としては時短勤務、半日有給休暇制度、お試し出勤、フレックスタイム制などがあり、両立支援コーディネーターも2名在籍しています。
今回の事例は、ケアマネージャーの職員が病気になり、支援が必要となって、職場として改めて両立支援を見直す機会になりました。

具体的な両立支援の内容を教えていただけますか?

ケアマネージャーとして働いていた職員(加來氏)が自宅で脳出血で倒れたのは、令和元年12月でした。 3か月の入院・リハビリ治療から退院後、当施設でリハビリ特化型デイサービスを利用して4か月ほどリハビリに励み、令和2年8月に正社員として復帰。現在は施設ケアマネージャー復帰を目指して総務職員として働いています。
具体的には退院後、左半身麻痺の後遺症があったため、介護保険を利用しながら当施設のケアマネージャー、理学療法士、福祉用具専門相談員などが機能訓練のサポートをしてリハビリをサポートしました。 また、熊本産業保健総合支援センターからは個別訪問指導も何度も受けました。
職員として復帰してからは、2週間ほど週4日間のお試し出勤をしながら、リハビリがきちんと継続できるように事務所メンバーが一丸となって支援し、自宅に近い勤務地への変更、専用駐車場の用意、机やパソコンへの動線の工夫などをしました。



【リハビリ室での加來氏】
実際に両立支援を進めてみた感想はいかがですか?

病気になってもリハビリを続けながら職場復帰ができたこと、そして病気になっても働き続けられる職場であることに、職員全員が改めて職場環境の良さに気づくことができました。
そして、職場の多職種が両立支援に向けて一致団結できたことは、施設利用者への支援を行う上でも強みになると感じています。
最も刺激になったことは当該職員が復帰に向けて一生懸命な姿勢を見せることで、職員はもとより、施設利用者のみなさんが「私たちも負けていられない、頑張るぞ」といったモチベーションが目に見えて向上したことです。

今回の両立支援の当事者となった加來さんにお伺いしますが、両立支援を受けた側としての感想はどのようなものですか?

私の場合は職場に両立支援コーディネーター、ケアマネージャー、理学療法士、福祉用具専門相談員といった両立支援に関わるほとんどの職種が在籍していたこと、そして職場が非常に支援に協力的だったことが大きかったと思います。
プロの目から目標を設定し、そのプログラムが順調に進むことで焦りや不安がなくなり、心にゆとりが生まれ、支援プランを明確にしてもらったことで、やる気や意欲も湧きました。
両立支援を受けてみて大事だと感じことは、両立支援があるということを従業員に対してしっかりと周知することです。いざ病気になった時に、1人で職場復帰や治療と仕事の両立をすることは戸惑うことが多いと思います。
また、支援が必要になった時に「いつ、どこで、誰に、何を」相談すればいいのか窓口を明確にしておくことも大切だと思います。
私はケアする側として働いていましたが、実際にケアを受ける側になって初めて気づいたこともあり、そのような経験を今後の職場の両立支援や介護の現場に活かしていきたいと思います。


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