厚生労働省

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両立支援の取組事例

人事部長が社員のほとんどを毎年面談
現場を知ることで本人に寄り添う支援を

株式会社フレスタ

執行役員 グループ管理本部
本部長
渡辺 裕治

会社名
株式会社フレスタ
所在地
広島県広島市
事業内容
卸売業、小売業
設立
昭和26年10月1日
正社員数
約600名/グループ全体従業員数 約5200名
(2020年12月現在)
平均年齢
約40歳/男女比 男性7:女性3
(全従業員 男性2:女性8) 
産業保健スタッフ
7名

広島県を中心に岡山県、山口県などで59店舗のスーパーマーケットを展開するフレスタ。従業員はパートやアルバイトを含め5200名、さまざまな年代、国籍を問わず働いています。
「ココロ、カラダに、スマイル」が経営方針で、従業員を家族のようにとらえ、600名の社員中、新入社員などを除く520名ほどの面談を人事部長が1人 で毎年行うなど、健康に永く働ける環境づくりに邁進しています。

フレスタでは人事部長自らが正社員への面談を行っているそうですが、
それは一体どういった理由からでしょうか?

一番の理由は現場の肌感覚が大切だということです。弊社にはしっかりとした人事制度がありますが、制度があっても有効に使いこなせなければ意味がありません。従業員に寄り添った、現場で起こる問題を速やかに解決することが大事で、そのためにある程度の権限を持った人間が直接本人と話すことで、例えば店舗間の人事異動などをスムーズに運ぶことができます。
正社員は約600人いますので、年間の半分以上を面談に費やしていると言っても過言ではありません。おかげで私は、従業員から相談を受けてくれる人という認識が出来上がっているようで、店舗に行くと相談事のある人は駆け寄ってきたりします。

全従業員が5200名もいらっしゃると様々な場面に遭遇するのではないでしょうか。

従業員には、パート、アルバイト、外国籍の方、障害者の方など、さまざまな方がいます。また、病気治療中の方、妊娠中の方、親の介護をしている方など、働き方もいろいろな形で対応しています。
面談をするのは正社員だけですが、「従業員相談室」の電話を設置し、直通で私のデスクにかかってきます。店舗の従業員控室には、この相談室のポスターが掲示されていて、誰もが利用可能です。相談内容はどんなことでもよく、パワハラや職場の人間関係から、プライベートな相談、最近ではカスタマーハラスメントの相談などもあります。
特に健康面などのプライベートな相談は上司や同僚には話しづらいこともありますので、相談窓口で素早く対応する体制は従業員からも喜ばれています。



「従業員相談室」のポスター
両立支援の具体例を教えてください

店舗の50代マネージャーが、人間ドックで大腸がんがみつかり、手術をして復帰した例です。
2週間ほどの手術・入院、自宅療養を終えての店舗復帰となったのですが、まずは主治医から病状や必要な配慮、どんな働き方ができるのかといった「復帰診断書」をいただき、本人とどのように復帰するかということを話し合いました。
6時間の時短勤務からスタートし、大腸がんのためトイレの心配を配慮し、長時間の拘束となるレジなどの業務は担当しないことにしました。
通院に関しては、有給休暇は使わず店長の裁量で業務時間内に数時間抜けるなどの対応をしました。弊社には半日や時間単位での有給はないのですが、店舗であればシフトの調整などで柔軟に対応することができ、3か月ほどで8時間勤務に戻れました。
その他にも、乳がん、子宮頸がん、メンタル疾患の方など、たくさんの方が治療と仕事を両立されています。
また、病気ではないのですが弊社では女性の従業員も多いので、毎年20〜30名の妊娠・出産により休職する従業員がいます。そのため、店長が職場復帰、仕事と育児・介護・治療などの両立マネジメントを必ず経験していることも、スムーズな支援が行えている一因かと思います。
弊社は、従業員は家族同様と考えています。1人1人の困りごとが発生した場合には、家族同様に親身になって相談に乗り、ルールや制度に縛られることなく、どうすれば働き続けられるのか、どうすれば従業員が幸せに生きられるのかを考え、これからも柔軟な支援をし続けていきたいと思います。


フレスタオリジナルの「復帰診断書」

「休職者の職場復帰受入計画書」により、復帰1か月後、2か月後、3か月後の業務内容を段階的に変化させて職場復帰を支援している

取組事例一覧