厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

「こころの健康管理」、「困りごと相談室」等相談窓口を設置し、
いつでも相談できる環境を構築

PHC株式会社 松山地区

人事部西日本人事課松山人事係/係長 伊藤 彰氏
松山地区健康管理室 看護師/両立支援コーディネーター 上田 裕美氏

会社名
PHC株式会社 松山地区
所在地
愛媛県東温市
事業内容
電気機械器具製造業
設立
1969年11月
従業員数
873 名( 2021年12月現在)
平均年齢
48歳/男女比 男性8:女性2
産業保健スタッフ
2名

ヘルスケア企業として、事業を通じた社会貢献を行っていくためには、従業員が心身ともに健康で生き生きと働くことができる環境づくりが必要であるという方針に基づき、従業員一人ひとりに寄り添い、治療と仕事が両立できるよう取組を積極的に推進しています。

何がきっかけで治療と仕事の両立支援に取り組まれたのでしょうか?

当社は、経営理念のもと、健康経営を実践し、2019年度より継続して「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を受けております。
年齢とともに体力が落ち、ケガや病気を発症しやすくなりますが、より一層、従業員の健康に対する意識向上と健康維持・増進に努めながら、従業員一人ひとりに寄り添い、治療と仕事が両立できるよう積極的に取り組んでいる中、両立支援コーディネーターの研修案内があり、資格取得により医療機関など関係者と連携が取りやすくなり、両立支援が加速度的に進んでいきました。

具体的な両立支援の仕組みや支援制度をお聞かせください。

■相談窓口の設置
社内に各種相談窓口(「こころの健康管理」、「困りごと相談室」等)を設置し、社内イントラネットに案内・掲載し、いつでも相談できる環境を構築しています。相談があれば、健康管理室、人事、労働組合、総務部など各専門分野のスタッフが対応しています。
■両立しやすい休暇・休職制度
①年次有給休暇
毎年最大で25日の年休を付与し、半日年休(一年度に合計10回(5日分))、時間年休(一年度に合計40時間(5日相当))での取得も可能とし、繰越年休のうち年5日を限度に最大50日まで積み立てることができます。
②ファミリーサポート休暇
従来、配偶者の出産や育児、家族の疾病予防等を目的としていましたが、2021年度からは従業員本人の疾病予防や検診を目的に、年5日のファミリーサポート休暇を年次有給休暇とは別に付与しています。
③休職制度および休復職支援制度
勤続年数により、最大3年間、休職制度を利用することが可能です。休職に入る前、休職中、復職前、復職後1年間にわたり、職場、人事、労働組合、健康管理室スタッフをメンバーとしたチームを発足し、休復職支援委員会を設置しています。健康管理室が窓口となり、「PHC版勤務情報提供書」を用いて、主治医や医療機関関係者と連携した体制を構築しています。
■両立しやすい休暇制度
通常勤務に加えて、フレックス・タイム制勤務、在宅勤務制度、短時間勤務(ワーク&ライフサポート勤務制度)等状況に応じて活用しています。
■個人情報の保護
弊社情報セキュリティ方針に則り、適切に管理し、健康管理室で得た情報を関係者に共有する時は、本人の承諾を得て展開しています。
■支援者の設置
産業医、看護師、両立支援コーディネーター、衛生管理者等を設置しています。


実際に両立支援された具体的事例はありますか?

乳がんからの転移で放射線・抗がん剤治療をしている従業員の体調が安定期に入った為、復職をした事例があります。主治医からは、短時間勤務・軽作業で復職可の診断書が発行されましたが、勤務情報提供書を用いて、主治医ではなく病院の両立支援窓口に相談し、情報共有を図りました。体調確認面談と支援者による会議を定期的に設け、半日年休・時間年休を有効に活用し、時短勤務から徐々に体を慣らし、定期的に業務内容を見直すことでフルタイムの勤務が継続できる状況になりました。また、本人の了解を得て必要最低限の情報を職場に提供することで、職場責任者以外にも勤務中の支援をしていただきました。
また、脳梗塞を発症した従業員の場合は、復職前に職場責任者と産業医・産業看護職が病院を訪問し、主治医や作業療法士など病院関係者と情報共有する場やリハビリをしている状況を実際に見せていただく機会を設けていただくことで、後遺症の状況の把握ができ、復職に向けた作業内容を準備することができ、数年経過した現在も通常勤務ができています。

産業保健総合支援センターや研修等も活用されていますか?

愛媛産業保健セミナーに参加し、両立支援に関する知識を習得し、講師の先生との交流を通じ、従業員の事例で困ったことなどの相談が出来る関係づくりを構築し、従業員が少しでも働きやすい環境になるよう努めています。
また、社内イントラでの掲載や安全衛生委員会で取組を紹介し、希望があれば職場懇談会の場で健康教育を実施しています。また、両立支援の対象者がいる職場に対しては、管理職だけでなく同僚となる従業員に対しても産業医から説明しています。

取組事例一覧