厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

治療をしながら出来るだけ長く働き続けたいという意欲(動機)
と両立支援で70歳まで働く場を提供

日本刃物株式会社

取締役総務部長 上野 弘一氏

会社名
日本刃物株式会社
所在地
山形県米沢市
事業内容
金属製品製造業
設立
1942年5月
従業員数
56名(2021年12月現在)
平均年齢
40歳 /男女比 男性9:女性1
産業保健スタッフ
3名(衛生管理者・総務担当・産業医)

産業用機械刃物を市場に提供し、躍進を続ける金属製品製造業。
2018年度から4年連続で健康経営優良法人の認定を受け、更に地道な取組を評価していただき2021年度ブライト500の認定を受けました。ある社員の病気治療による休職や復職の過程で、医療的視点のサポートがないと両立支援は成り立たないという反省から、まずは無理のない内部資源を活用した両立支援から取り組んでいます。

具体的な両立支援の仕組みや支援制度をお聞かせください。

社内スタッフが支援の窓口になり定期的に情報の収集(必要に応じて面談)を実施し、本人からの申出があった場合、速やかに産業医の健康相談を受診してもらっています。その後は主治医の診断を受け本人から診断書の提出があった段階で、社内窓口スタッフと工場責任者、所属部署の長、必要に応じて関連部署の長が参加し診断書の治療方針に沿ってそれぞれの立場からの意見を集約し、職場復帰支援計画書を作成します。その内容は主に復職後の本人の業務の負担軽減、人的配慮、時間的配慮、あるいは配置転換の有無等です。また治療開始前、本人が金銭的不安を感じることなく治療に専念出来るように保険給付等の説明は特に配慮することで、そのご家族のサポートの後押しにもなっていると思います。

実際に両立支援された具体的事例はありますか?

現在も通院治療中の事例ですが、勤務中に体調の異変を感じるまで本人も病気に罹患していることに気づかず検査の結果、敗血症の診断を受け投薬治療のため入院となりました。その後はリハビリ期間を含めて3か月以上の休職となりました。このケースはコロナ禍の状況でご家族でさえ全く面会もできず、サポートも後手の対応になってしまい本人はもちろんですが、ご家族も不安な入院期間であったと思います。入院後、民間保険の治療費の実費補償給付の説明と職場復帰支援計画で決まった復職後のサポート内容を説明しました。このケースでは復職後の通院治療や検査が長期に及ぶ、ということで体調を考慮しながら業務の軽減化と時間的サポート(サポート人員の配置)を1か月単位で見直しながら継続しています。

社外資源は活用されていますか?

山形産業保健総合支援センター主催の各研修セミナーへの積極的な参加と支援相談窓口の活用、福利厚生の一環で加入している民間医療保険付帯の相談窓口の活用、協会健保による特定保健指導などを取り入れています。 また、健康経営の取組の一環で、毎年社内で地元自治体主催の「健康長寿の街つくり推進事業」の1つで地元大学と連携して専門講師の方を招いて「適塩教室」を開催しています。

今後の展望・課題をお聞かせください。

今までの取組で一定の成果はありましたが、事例が増えるごとに今までの内部資源をメインにした取組だけでは限界がありどうしても外部機関との連携が不可欠だと感じました。まず産業保健総合支援センターの両立支援促進員の橋渡し支援を活用していくことと、今後当社でも増えてくるであろうがんの両立支援は県のがん総合相談支援センターの窓口相談などを積極的に活用していきたいと思います。
弊社のような小規模企業にとっての強みは「互いに社員1人1人を身近に感じること。」です。決して義務感で取り組むものではなく身近な同僚の姿を自分に置き換えて自発的なサポートがしやすい環境にあることを改めて実感しています。

取組事例一覧