厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

「仕事と生活の両立を支える職場づくり
~活用ガイドブック~」を作成し、職員へ周知

社会福祉法人カナンの園

法人事務局 専門員 佐藤 真名氏

会社名
社会福祉法人カナンの園
所在地
岩手県二戸郡
事業内容
医療・福祉(主に知的障がいのある方々を対象とした障害福祉サービス事業の実施)
設立
1972年11月
従業員数
211名(2021年12月現在)
平均年齢
47.2歳 /男女比 男性4:女性6
産業保健スタッフ
15名(産業医1名、看護師6名、安全衛生推進者9名(内1名看護師兼務))

岩手県の県北地方を中心に、キリスト教理念をもとに障がい者といわれる人々を中心として、全ての人が互いに尊重し助け合って生きていく社会の実現をめざし、事業展開しています。

何がきっかけで治療と仕事の両立支援に取り組まれたのでしょうか?

社会的に「ライフワークバランス」という言葉が使われるようになり、法人としてもそのような視点で多様な人材が個々の状況や希望に合わせて働ける職場へ転換する必要性を感じました。また、働き盛りの職員の長期治療などが必要なケースが数例あり、休業などを併用しながら働き続けるための生活保障をより充実させたく両立支援に取り組みました。

両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものはありますか?

互いを理解し支え合う風土を作ること、そのための制度の充実と制度の周知が大切と考え、「仕事と生活の両立を支える職場づくり~活用ガイドブック~」を作成し、全職員に配布するとともに事業所ごとに説明会を開催しています。


具体的な両立支援の仕組みや支援制度をお聞かせください。

傷病休暇(有給)の充実や失効年次有給休暇制度の創設、ガン治療費及びケガ通院費フルタイム補償の特約付き業務災害総合保険への法人加入(保険金は全額対象職員に支給)、産業医の配置、ストレスチェック等を実施しています。

実際に両立支援された具体的事例はありますか?

入職後4年目の職員が長期治療が必要な病気を発症しました。傷病休暇2か月(62日)を2分割で取得し、年次休暇を組み合わせたことで、3か月を超える期間を全額給与支給しました。その上、業務災害保険の対象となり、入院・通院費用の実費負担分、入退院時の交通費などの保険金が支給されたことで、経済的な支えができたと思います。最大2年間、上限300万円の治療費が補償されます。 また、中間管理職にある職員が長期治療を行いながら業務との両立を図っていますが、職場の配慮により業務量の軽減をしつつも、本人の治療への意欲を高めることと、所得補償のため、職位を維持しているケースなどもあります。
産業医との面談により、主治医には聞けない話や病気に対する不安を継続して相談しているケースでは、メンタル不調による長期の休業からの復帰プログラムを産業医に相談しながら作成し実施したことで職場復帰がスムーズにいきました。

社外資源は活用されていますか?

産業保健総合支援センターからの訪問で両立支援に関するアドバイスを受けたことが失効年次有給休暇積立制度の創設に結びつきました。

今後の展望・課題をお聞かせください。

治療と職業生活に限らず、子育てや介護を含めた両立支援はこれでよしというものではなく、バージョンアップを繰り返していく必要があります。当然経営的な視点も重要ですが、バランスを見極めながら対応していきたいと思っています。
両立支援は人材確保とセットでアピールポイントとして語られる傾向がありますが、そのことがあまり強調されすぎると同業種での人材の争奪戦の道具として用いられてしまうという危惧を持っています。社会全体がセーフティーネットとして両立が可能な制度を作っていくことが大切だと考えています。

取組事例一覧