厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

多能工化することを前提としたキャリア育成が、
治療と仕事の両立に

日信化学工業株式会社

環境品質管理部 部長 堀口 智喜氏

会社名
日信化学工業株式会社
所在地
福井県越前市
事業内容
化学品の製造、販売
設立
1955年3月
従業員数
247名(2021年11月現在)
平均年齢
40歳3か月 /男女比 男性8.7:女性1.3
産業保健スタッフ
4名

日信化学は紙、布、金属、樹脂などのさまざまな素材に 混ぜたり、塗ったりすることで、元の素材に特徴ある性能を付け加えることができる材料「機能性樹脂」等オンリーワン商品を多く生産、販売している会社です。治療や入院は欠員が生じた場合に生産活動に与える影響が大きいことから、従来より労働者の多能工化を進め、一人の労働者が複数の業務に対応できるようにすることを事業場の方針としています。

何がきっかけで治療と仕事の両立支援に取り組まれたのでしょうか?

20数年前に多くの定年退職者があり、危険を伴う化学品製造工場である当社はトラブルが頻発、また各職場で従業員にかかる負担も増し、特に精神疾患や疾病者も増加しました。その時期は、各支援体制も脆弱で、長期休養者は自ら退職を選択し、技術・企業風土の伝承が途絶えることを、会社が危惧した事が大きい分岐点になっています。

具体的な両立支援の仕組みや支援制度をお聞かせください。

相談窓口を総務・人事グループに設置し、支援者や労働組合専門部会で現場・従業員の生の声を吸い上げています。また、健康面における窓口を環境保安グループにおき、支援の申出があった場合、総務・人事グループとタイアップし、支援者の要望を第一に、力量・経験則を考慮した配置転換を実施しています。長期休養における給料面のサポートに関しては、傷病手当金が終了した後でも会社・共済金から6か月決められた金額支給を実施し、後にGLTD制度でのサポートを実施しています。

実際に両立支援された具体的事例はありますか?

20年以上製造現場に従事し癌に罹患。治療を続けながら定年まで働いた後に、工場事務スタッフとして現場でのノウハウを活かし工程データ管理及びデータ解析等の業務に従事し、現場に対し危機管理のアドバイス等で活躍したケースがあります。
製造現場、事務スタッフともに、多能工化を進め、疾病における長期離脱へのBCP(事業継続計画)対応を図り、復職者が安心して元の職場に戻り通院治療を続けながら活躍できる体制を構築し、昨年度も、がんや精神疾患による離職者はありませんでした。

社外資源は活用されていますか?

リワークセンター(福井障害者職業センター)におけるカウンセリング指導・教育講習を取り入れています。産業医との定期的な面談、全従業員を対象とした衛生講話や、会社からの一部費用負担によるGLTD導入も2年前から開始しました。
また予防・早期発見・治療を目標とし、法定の健康診断以外に全従業員を対象とした年2回の健康診断(会社負担)を実施し、再検査対象者へは積極的なフォローを行っています。精神疾患(それによる離職者)の予防・早期発見のため、3か月に1回の職場における個人面談を実施し、申し入れ者からの要請には即時に対応しています(職場の変更や業務負担の軽減等)。衛生講話やストレスチェックは毎年実施中です。また各部門に数名の第一種衛生管理者の資格者を配し、産業保健スタッフのバックアップを実施しています。

今後の展望・課題をお聞かせください。

”予防”を大目標として健康経営の実現、ワークライフバランスの実現により、引き続き疾病による離職ゼロを目指し、国・県・市および親会社である信越化学の指導の下、会社・従業員が一体となり、越前市がすすめる「健康すまいる事業所」として労使が一丸となって更なる支援システム改善に努めます。

取組事例一覧