厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

ライフスタイルに合わせて働き方を自由に変えられる両立支援

広島電鉄株式会社

人財管理本部 人事部長 田村 智康氏

会社名
広島電鉄株式会社
所在地
広島県広島市
事業内容
運輸業・路線バス・電車(鉄道・軌道)・不動産
設立
1942年4月
従業員数
1,741名(2021年12月現在)
平均年齢
47.6歳 /男女比 男性9:女性1
産業保健スタッフ
6名

「広電」の愛称で知られる広島電鉄は、大正元年(1912年)に前身の広島電気軌道によって広島市内に路面電車を開業して以来、広島県西部地域を中心として、電車、バス、不動産の事業を営んでいます。人財の確保・育成といきいきと働きやすい職場環境の追求を経営戦略として掲げ、従業員と会社、健保組合が一丸となって健康増進に努めることで、より質の高い「安全・安心」を提供する交通事業者として地域社会への貢献を目指します。

何がきっかけで治療と仕事の両立支援に取り組まれたのでしょうか?

会社の社是の中で「協力一致」相互に協力し合いながら目標を達成するとの精神で事業を行っています。
その後ライフスタイルの変化からフルタイム勤務が困難な従業員に対して継続して就労できる環境や正社員短時間などの制度を整え、健康経営にも取り組む中で、治療と仕事の両立支援を実行施策の一つとして実施しました。

具体的な両立支援の仕組みや支援制度をお聞かせください。

新たに設置した生涯支援課に介護、育児に限らず従業員の悩みを相談・支援する窓口を設置しました。
有給休暇については取得しやすい環境を整備し9割程度の使用率を達成しています。
全職場で短時間正社員制度を導入して、理由を問わず週3日勤務・1日5時間勤務など多様な働き方ができます。ライフスタイルに合わせた制度利用で、本人の能力を生かしながら就労を継続することが可能となりました。
また、産業保健スタッフによる出張健康相談などを実施しています。
傷病者に対しては現在の職務の継続が困難な場合、本人、上司、人事、主治医、産業医、組合が連携して働き方を協議する機関を設置して、本人が納得する形で職種変更および賃金変更も含め、労使が協力してその後の働き方を決定しています。



実際に両立支援された具体的事例はありますか?

■具体的事例①
病気を発症して手術の末、人工物を使用することとなった乗務員は復帰後、治療の関係で地上整理員の職務に変更となりました。
その後、本人の乗務員への復帰希望があり、正社員短時間制度を利用して週4日勤務に変更することで治療日を確保し乗務員へ復帰しております。
■具体的事例②
メンタル不調のため長期休職していた男性事務員がコロナ禍でひきこもり状態となりました。復職プログラムにより通勤練習を繰り返し、1か月後に正社員短時間制度を利用し復職しました。

社外資源は活用されていますか?

産業保健総合支援センターのメンタルヘルスに関する講演、復職支援プログラムでのサポートなどを受けています。
GLTD(団体長期障害所得補償保険)は会社として全社員に対して導入しています。

今後の展望・課題をお聞かせください。

当社は65歳定年制を早くから導入しており、特に乗務職場においては35歳から5年ごとに人間ドック・脳ドックを受診して病気の早期発見に努めてきました。それでも病に侵され定年退職を待たずして亡くなる方がおられます。生活習慣病などに対しての健康指導に加え、今後従業員個々の認識を高める施策(健康アプリの導入、健康リスク診断など)の実施、休職者の復帰プログラムの充実、各種社内外制度(休暇、勤務、補助など)の従業員への周知が今後の課題です。

取組事例一覧