厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

職員の健康の保持・増進を基本方針に掲げ、仕事と治療の両立を支援

一般財団法人 全日本労働福祉協会 茨城県支部

支部長 工藤 好央氏

会社名
一般財団法人 全日本労働福祉協会 茨城県支部
所在地
茨城県笠間市
事業内容
医療保健業
設立
1976年5月
従業員数
46名(2021年12月現在)
平均年齢
52歳 /男女比 男性4.8:女性5.2
産業保健スタッフ
2名(産業医資格保有医師1名、衛生管理者1名)

当協会は働く人とその家族ならびに学生、地域住民等の健康の保持・増進に役立つ活動を行うことを目的として設立されました。レントゲン装置などを積んだ健診車を使用し、依頼を受けた事業場に赴いて定期健康診断等を行う業務を担っています。継続的な治療が必要となった従業員が発生しても、当人に可能な限り勤務を継続してもらい、これまでのスキルを活かしてもらうことが結果として協会の業務運営に資することに繋がるものと考えています。

何がきっかけで治療と仕事の両立支援に取り組まれたのでしょうか?

従業員の高年齢化が進み、健康診断の結果、「医師の治療が必要」との判定を受ける従業員の割合が増加しつつあり、当支部で働いているベテランの従業員がいつ何時、現在従事している業務をそのまま継続することが困難となるような疾病にり患していると判明してもおかしくないと考えております。実際、支部長である自分自身が一昨年に甲状腺がんと診断され、入院・手術を受ける状況となったことから、特に両立支援制度の重要性を強く意識することとなりました。そのような中で昨年、従業員の一人が私病により透析が必要な状態となりましたが、当人が継続雇用を希望していたことから、当人が必要な治療を受けながらも継続して勤務できる環境を構築する必要があると考えて、取り組むことといたしました。

両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものはありますか?

毎月開催している医療安全委員会の中で支部として取り組んでいる事項を説明し、全日本労働福祉協会の理念や基本方針でもある「職員とその家族の健康の保持・増進を図り、働きがいのある職場作りに努める」という方針のもとに、関係部署の所属長に理解と協力を依頼しています。

具体的な両立支援の仕組みや支援制度をお聞かせください。

当協会は健康診断機関であることから、産業医資格を有する医師(センター長)が常駐しており、適宜従業員の健康相談などに対応できるほか、看護師や放射線技師も常駐しており、必要に応じて定期外の健康診断などにも対応可能となっています。
勤続年数3年以上の従業員には1年度内に100日の有給の病気休暇が付与されます。
*当該病気休暇の取得は年度内に1回のみに限られますが、同一の事由による取得であれば、100日に達するまでの分割取得も可能です。ただし、当該休暇は賞与や有給休暇算定の場合は欠勤としてカウントされます。
4月から12月に新規採用となった職員は入社当日から”10日の有給休暇”が即日付与され、翌年4月の時点で一律に1年経過したものとみなして”11日付与”されます。
*1月~3月の新規採用職員は即日付与はされませんが、年度切り替えの4月の時点で”11日”付与されます。

実際に両立支援された具体的事例はありますか?

移動健康診断業務に従事していた従業員が治療開始後(腹膜透析等)に当該業務に従事することは困難であるため、総務部門への配置転換を行いました。この場合、手当の廃止などによる賃金の減額が発生するため、これをできるだけ少なくする配慮(総務部門における手当の増額措置)を行っています。
職場復帰後は、体調不良により連続勤務が困難な状況があったため、隔日勤務や1時間程度の時差出勤を認めております。
対象従業員からの要請により、主治医による透析のための手術の事前説明に当人や当人の家族とともに支部長が参加して一緒に説明を受けました。この際、腹膜透析や血液透析に移行した場合の留意事項(主に当支部の職務に従事する場合に留意すべき事項)やそれ以外の疾病の治療状況などについても直接主治医に確認して指導を仰ぎました。
毎月実施している検査結果を本人同意のもとに提出してもらい、検査結果を医師(センター長)に提示して、必要に応じ検査結果に基づく口頭指導を行うこととしています。

今後の展望・課題をお聞かせください。

両立支援制度を円滑に運用するためには、正社員についても短時間勤務や隔日勤務制度を導入する必要があると考えており、今後はそのような制度の導入を本部に働きかけていきたいと考えています。
また働き方・休み方改善ポータルサイトで紹介している「失効年休積立制度」(個人が未消化で消滅した有給休暇を病気療養などのため積み立てておく制度)の導入についても本部への働きかけをしたいと考えております。

取組事例一覧