厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

公的機関と連携して『職員がいつまでも健康に働き続けられる職場づくり』を実践

社会福祉法人 愛耕福祉会

法人本部 総務担当チーフ(第一種衛生管理者)
長澤裕美氏

会社名
社会福祉法人 愛耕福祉会
所在地
島根県雲南市
事業内容
保育園運営
設立
平成18年11月NPO法人明育会として創業
平成27年3月社会福祉法人愛耕福祉会
従業員数
84名(令和3年12月現在)
平均年齢
38.1歳/男性1:女性9
産業保健スタッフ
5名

平成18年NPO法人明育会として創業。“社会福祉法人”として、かつ“保育の専門集団”として「職員が健康で活き活きと働き、専門性の高い保育を継続して提供」しています。地域における“セーフティーネット”としての事業を継続すべく、「治療しながらでも安心して働ける職場づくり」を目指しています。

何がきっかけで治療と仕事の両立支援に取り組まれたのでしょうか?

「産業医(雲南市立病院)」、「協会けんぽ」、「保健所」、「産業保健総合支援センター」等の公的機関と連携して『職員がいつまでも健康に働き続けられる職場づくり』を実践しています。具体的には「協会けんぽ」の健康測定器の無償貸出と、「雲南市立病院」の医療出前講座による「健康測定」を実施したり、「保健所」の健康づくり出前講座による「歯と口の健康」教育を行う等、公的機関の支援を活用しています。また看護師や栄養士といった専門職が多数在職しており、その専門知識を活かして、職員対象の「健康」をテーマにした研修会を開催したり、健康診断結果に基づいた職員個別のサポートにも取り組んでいます。その取組が認められ、島根県の「しまね☆まめなカンパニー5つ星」や「ヘルス・マネジメント認定事業所」に登録され、「健康経営優良法人」にも2年連続で認定されました。しかしながら「がんを発症する確率が2人に1人」という昨今の状況下において、今後、弊社でも「疾病等により治療しながら就業を継続する職員がでるかもしれない」と考えた時、現在の職場体制で職員を十分に支えることができるのだろうか、という新たな課題が見えてきました。そこで、職員2名が「両立支援コーディネーター」の研修を修了(現在は3名)し、「治療しながらでも安心して働ける職場づくり」を目指すことになりました。

両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものはありますか?

職員の「両立支援」に取り組む目的は、“社会福祉法人”として、かつ“保育の専門集団”として「職員が健康で活き活きと働き、専門性の高い保育を継続して提供」することにあります。保育園は子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごす場です。このため、保育園の保育は子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うための重要な役割を担っています。つまり保育園に勤務する職員が体調不良だったり、それが原因で欠勤や休職することがあれば、その目的を達成することができないばかりか地域における“セーフティーネット”としての事業が継続できず、市民の期待に応えることができないと考えています。

具体的な両立支援の仕組みや支援制度をお聞かせください。

相談窓口には「両立支援コーディネーター」の研修を修了した「看護師」と「総務担当者」を配置し、電話やメール、対面での相談を受け付けています。職員の体調面など産業保健に関することは主に「看護師」がサポートし、高額療養費制度や傷病手当金など社会資源に関することや労務管理に関することは主に「総務担当者」がサポートしています。また、職員が脳卒中や心筋梗塞等、突然本人と会話することができなくなった時に備え、職場に相談窓口があることを職員の家族にも周知しています。加えて職員がに相談しにくい場合「産業保健総合支援センター」へ直接電話で相談できることも周知しています。
また職員の「疾病に関する情報」を適切に管理するため、情報の取扱者や漏洩防止等を定める『健康情報等の取扱規程』を制定しました。そして疾病等により長期間休業した職員に勤務日数や時間短縮した勤務体系を提示することで、復職に対する不安を解消し、円滑な復職を支援する『リハビリ勤務規程』も制定しました。併せて復職後の通院時間等確保を目的とした「年度内に3日間」、時間単位でも取得できる『治療休暇制度』を制定し、安心して治療が行える環境を整えました。

両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものはありますか?

職員の「両立支援」に取り組む目的は、“社会福祉法人”として、かつ“保育の専門集団”として「職員が健康で活き活きと働き、専門性の高い保育を継続して提供」することにあります。保育園は子どもが生涯にわたる人間形成にとって極めて重要な時期に、その生活時間の大半を過ごす場です。このため、保育園の保育は子どもが現在を最も良く生き、望ましい未来をつくり出す力の基礎を培うための重要な役割を担っています。つまり保育園に勤務する職員が体調不良だったり、それが原因で欠勤や休職することがあれば、その目的を達成することができないばかりか地域における“セーフティーネット”としての事業が継続できず、市民の期待に応えることができないと考えています。

社外資源の活用状況(産業保健総合支援センターやキャリアコンサルタントの活用、GLTD導入等)についてお聞かせください。

職員が疾病等により休職した場合、収入が途絶えるだけではなく働いている時と同様に生活費や教育費、住宅ローン等を継続して支払わなければならず、さらに医療費や介護費用、通院費等が加算されます。そこで法人として収入面でも職員をサポートしたいと考え、今年度から「GLTD」を導入しました。その導入により職員が安心して治療に専念できる環境を整え、早期の復職支援につなげています。また、健康リスク予測モデルを搭載した「健康管理アプリ」を職員に提供しており、日々の体調を記録したり、過去の健康診断結果をいつでも確認できることで、職員の健康意識の向上につなげています。

その他特記事項(研修等による意識啓発・労使の協力等)がございましたらお聞かせください。

「産業保健総合支援センター」の制度を活用して、管理監督者向けの「両立支援教育」と、全職員対象の「啓発セミナー」を実施しました。「両立支援教育」では、職員との信頼関係の重要性や、両立支援対象となる疾病、対象者への声掛けや対応等を講演いただきました。「啓発セミナー」では、がんの罹患動向や両立支援の現状等を伺い、相談窓口の電話番号が記載してあるパンフレットを配布しました。これにより全職員の「両立支援」に対する理解が深まり、自身の健康を意識する良い機会になりました。

今後の展望・課題をお聞かせください。

弊社では両立支援の取組を通して一人でも多くの方に「治療と仕事の両立支援」の必要性が理解され、治療を理由に就業を諦める人がいなくなることを願っています。企業の事情は様々ですが「大企業ではないから…」「コストが掛けられないから…」ではなく、職員の健康と幸せを一番に考え、これまで以上に公的機関等との連携を深め、できることから着実に取り組んでまいります。

取組事例一覧