厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

長期間治療を要する従業員を支援する「私傷病による従業員の休職及び復職に関する規程」を整備

株式会社 鵜飼

総務 主任 仙石 英利子 氏

会社名
株式会社 鵜飼
所在地
岐阜県各務原市金属団地114番地
事業内容
金属加工
設立
1953年7月
従業員数
150名(2022年11月現在)
平均年齢
44歳 /男女比 男性:9.1:女性0.9
産業保健スタッフ
1名

1953年に創業した弊社は顧客のニーズ(納期・品質・コスト)を満たす製品を提供するため顧客との密接な連携を深め、日々加工技術の向上に力を注ぎ、「品質」の信頼獲得を目指し続けています。企業の従業員への健康づくりへの取組としては、中小企業法人部門の「健康経営優良法人2020の認定」を受けるなど評価されています。また、協会けんぽ岐阜支部より「ぎふ健康経営認定事業所」の認定も受けています。

治療と仕事の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

初めて従業員が精神疾患に罹った時にどのように対応したらいいか困ったことがきっかけです。半年以上経っても症状は改善されず、復帰に向けての会社の対応を専門家(産業保健総合支援センター)の意見を聞き、取り組んでいくべきだと考えました。現在はがんその他の病気にもこの経験を活かしながら、治療と仕事の両立支援を進めています。

貴事業場において、従業員の両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものがあればお聞かせください。

「健康経営推進事業所認定」を受け、労使ともに協力して健康・快適で仕事のしやすい安全な職場づくりを目指すために、働き方改革を推進し「はつらつ職場づくり」に取り組むことを労使で宣言しています。2020年3月には企業の従業員への健康づくりへの取組が評価され中小企業法人部門の「健康経営優良法人2020の認定」を受けました。

両立支援を行うための仕組みや支援者・支援制度をお聞かせください。

初めて従業員が精神疾患に罹った時に「私傷病による従業員の休職及び復職に関する規程」を設けました。支援が必要な人にはこの規程に添って対応をしています。

<窓口>
総務を相談窓口としています。各職長から総務に連絡があり、対象労働者に話を聞いたり、勤怠状況(休みが増加)を把握して労働者には声をかけたりするようにしています。

<休暇制度>
半日単位の年休や休業の制度(3年就労で1年間休業)があります。また健康診断の結果、再検査を必要とする労働者に対する特別休暇(1日、有給)制度などの周知をしています。

<勤務制度>
対象労働者の健康状況に応じて短時間勤務を柔軟に現場(職長等)と調整し実施しています。

本人・役員・総務・職長からなる復職委員会を設置し、本人と充分話し合い、主治医の意見、産業医の意見を聞きながらできる限り本人の希望に添って復職ができるよう支援をしています。主治医に対して勤務状況を提供する様式や主治医の意見を記載してもらう様式を用意して連携しています。
また、早期に精神疾患者の異常に気付きケアできるよう、職長全員に精神疾患に関するビデオで研修をしています。

貴事業場の仕事と治療の両立支援の具体的事例(実例・実績)をお聞かせください。

過去、精神疾患者6名、私傷病者5名ほどに支援を行いました。
精神疾患者は、診断書にもとづき本人から原因となっていることなどを話し合いの中から探っていき、環境の見直しや働き方の提案をしていきます。場合によっては主治医の意見を聞き、自宅療養をすすめています。
私傷病による休業者は、本人から申出があった時点で病気の内容や療養期間等を聞き、休業期間、復職のすすめ方を話し合います。特に復職の方に重きをおき、規程の中にある試し出勤や短時間出勤から始め、徐々に身体を慣らして無理のないようにすすめていきます。また、病気はどのようなものかをあらかじめ調べ、復職委員で情報共有をし、本人に寄り添えるようにしています。事例としては前立腺がんに罹患し、2か月休業した労働者がいました。本人の希望で傷病手当金を請求し、復帰後1か月くらい半日勤務、その後6時間勤務を経て通常勤務に復帰しました。

社外資源の活用状況(産業保健総合支援センターやキャリアコンサルタントの活用、GLTD導入等)についてお聞かせください。

一番最初の取組として、まずは産業保健総合支援センターの方に相談し規程づくりを始めました。規程づくりでは色々なアドバイスをもらい、当社に合った規程づくりをすることができ、大変勉強になりました。

その他特記事項(研修等による意識啓発・労使の協力等)がございましたらお聞かせください。

その人その人で病気や程度が違うので、本人と相談の上すすめていきます。特に精神疾患の方は早期に気付いて話を聞いてあげることで気持ちが楽になることもあるので、声掛けを大切にしています。
また、本人が療養期間中や復職期間中に他の従業員からの心ない噂や批判をあびないよう、本人の了承を得て公表しています。これにより周りの従業員も配慮し声掛けをしている光景も見受けられます。

今後の展望・課題をお聞かせください。

その人に応じた職場環境の提供ができるようにしていきたいです。いつ自分も病気やけがをするかわかりません。そんな時に安心して療養できる職場なんだなと感じて頂けるよう総務全員で対応しています。

取組事例一覧