厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

「従業員は会社の財産」の考えのもと治療中でも戦力となれる環境を整備

日東精工株式会社

人事総務部 労務課(看護師)
藤原 美穂 氏と健康経営推進委員会の方々

会社名
日東精工株式会社
所在地
京都府綾部市井倉町梅ケ畑20
事業内容
製造業
設立
1938年2月
従業員数
588名(2022年10月現在)
平均年齢
43歳 /男女比 男性8.4:女性1.6
産業保健スタッフ
1名

日東精工株式会社は1938年創業。工業用ファスナーや自動組立機械、計測検査機器などを開発・製造。世界に先駆けたねじ、自動ねじ締め機の開発など高い技術力を誇っています。2019年から中期経営計画に健康経営が盛りこまれ、両立支援制度にも力をいれて取り組んでいます。その健康経営の取組が評価され、「健康経営銘柄 2022」「健康経営優良法人2022(ホワイト500)」に2年連続認定されています。

治療と仕事の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

社是で「よい人がよい仕事をして、よい貢献をする」「よい人づくりには先ずは健康増進から」とうたっており、創業時より「従業員と従業員の家族の健康は、会社にとってかけがえない財産である」という概念が根づいています。昔は病気になると治療に専念し十分に回復してから復職というパターンでしたが、最近は医療の発展と共に外来治療が主となったことで、働き続けながら治療を行う方も増え、治療と仕事の両立支援が必要な時代となりました。
そんな中、2019年から中期経営計画「NITTOSEIKO Mission”G”」に健康経営がもりこまれ、両立支援制度にも力をいれて取り組むことになりました。

貴事業場において、従業員の両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものがあればお聞かせください。

■社是
■健康経営宣言
■健康経営推進委員会方針
これらにおいて、従業員の両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示しています。

両立支援を行うための仕組みや支援者・支援制度をお聞かせください。

<相談窓口>
労務課看護師(担当者)が窓口(コーディネーター)となっています。

<休暇制度・勤務制度>
休職期間3年半、勤続年数と職能(会社に対する貢献度)に応じ、年間最大180日の有給の傷病休暇(100%賃金を保証)制度があり、6割から8割が有給傷病休暇期間内に職場復帰しています。また、時間有休5日/年導入、治療(不妊含む)による有休分割制度(全ての有休を半日単位に分割可)導入、リハビリ出勤制度があります。

<支援体制>
産業カウンセラーや人事総務部 労務課の両立支援コーディネーター・看護師が常駐し、カウンセリング・産業医・看護師面談での継続支援をしています。

〈個人情報の保護〉
個人情報保護規定・健康情報等の取扱い規則を整備しており、対象労働者の個人情報は適切に保護しています。

〈その他〉
主治医やリワーク、ジョブコーチとの連携、高額療養費付加給付金制度などがあります。

がん、メンタルヘルス、脳血管疾患、急性冠症候群、整形疾患などの全ての疾患で、治療開始から本人・上司・会社・産業保健スタッフが連携を開始し、必要に応じて主治医や外部資源と連携しています。復職時は過重な負荷や必要以上の制限が無いように就業制限や仕事内容の調整を行い、復職後も体調や仕事負荷の確認を行うなど継続支援を実施しています。
「従業員は会社の財産」の考えのもと治療中でも戦力となれる環境を整えることで、本人だけでなく他の従業員の働きがいにもつながり、企業価値の向上につながっています。

貴事業場の仕事と治療の両立支援の具体的事例(実例・実績)をお聞かせください。

過去、最大で年間6~8名の休職者(メンタルヘルスが多く、他にがん患者等)が発生し、両立支援制度の休職・リハビリ出勤を適用して多くは職場復帰を果たしました。(ここ1、2年は休職者が減少しており年間1人程度です。)リワークやジョブコーチを利用してサポートした実績もあります。

①メンタルヘルス不調により3回休職されたケース:
症状安定後リワーク通所。産業保健スタッフがリワーク相談員やジョブコーチと連携し、復職前に部署で勉強会を実施しリハビリ出勤を利用して復職しました。配慮事項を部署内で共有・ジョブコーチ支援により再休職せず継続就労できています。
②がん治療のケース:
入院しがん切除後、通院にて放射線治療。有休分割制度を利用し、仕事をしながら30日間放射線治療を受けました。

社外資源の活用状況(産業保健総合支援センターやキャリアコンサルタントの活用、GLTD導入等)についてお聞かせください。

■治療と仕事の両立支援セミナー開催、制度の周知・イントラ掲載
病気になったらまず相談することで、望まない離職の防止や利用できる制度の理解、誰もが働きやすい職場づくりの推進を目的に治療の現状や両立支援の事例を学ぶ研修会を開催しました。また、産保センターから専門職の講師派遣を受けて両立支援セミナーを開催し、セミナーの動画や制度をイントラに掲載し、いつでも確認できる環境を整備しました。
他に、治療が必要とならない為にヘルスリテラシー向上のためのセミナーを年3~5回開催しました。新しい制度は社内報で周知しています。労働組合も両立支援制度の推進に積極的で、組合会報や集会での制度の周知などにおいて協力をしており、担当者をはじめ人事部門と労働組合との連携が図られています。

今後の展望・課題をお聞かせください。

病気になっても辞めずに働き続けることは本人の社会的・精神的な安定だけでなく、会社としての企業価値向上につながります。時代に合わせた制度の充実や働きやすい職場環境づくりを推進するとともに、病気にならない為のヘルスリテラシー向上にも継続して取り組みます。

取組事例一覧