厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

産業保健総合支援センターとの連携で両立支援に向けての就業規程を作成

野田建設株式会社

代表取締役 野田 直嗣 氏(ご担当:総務部 総務部長 野田 久美 氏)

会社名
野田建設株式会社
所在地
佐賀県佐賀市大和町大字川上5244-1
事業内容
建設業
設立
昭和22年8月
従業員数
28名(令和4年10月現在)
平均年齢
48歳 /男女比 男性9:女性1
産業保健スタッフ
1名

昭和22年8月設立の野田建設株式会社は「創る喜び残す誇り」を胸に、土木・ライフライン(上・下水道)工事業を行い、地元佐賀市大和町をはじめ、地域に貢献する企業です。社員一人ひとりに柔軟に関わっていくことで治療と仕事を両立しやすい雇用環境に近づけたい。こうした思いをもって「治療と仕事の両立支援規程(案)」を作成し運用に向けて調整しています。

治療と仕事の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

全産業のなかで建設業の従事者数は減少の一途です。復興事業、公共事業の増加等によって建設業は活気を取り戻す一方、慢性的な人手不足は否めません。技術者の高齢化は進み若年者の入社と定着に会社は苦慮し、今とこれからの技術力の確保を考えなければなりません。
社員が病気になり治療が必要となったとしても仕事をしながら治療をして雇用を継続させることで、社員の生きがいを保つと同時に会社の技術力の確保を図りたいと考えていました。
こういったことを漠然と考えているときに、病気で入院し治療する社員がいました。このことがきっかけで仕組みづくりに着手しようと具体的に動き始めました。

貴事業場において、従業員の両立支援に取り組む基本的な考え方や基本的な方針を示したものがあればお聞かせください。

社員とは長い付き合いであり、人生の大部分を占める仕事の場に弊社を選んでもらう重みを感じています。
仕事としてのスキルアップ・キャリアアップ、病気をしたとき、結婚育児をするとき、介護をするとき、退職後の生活準備など、ライフステージのどこにでも会社は寄り添っていきたいと考えています。ライフステージそれぞれでの仕事以外の役割は治療、育児、介護と様々ですが、それらと仕事を両立するということは本来とても重要なことですが、仕組みづくりについて会社は取り組んでいませんでした。個々に対応しやすい中小企業の強みに甘えていた、これでよいとしてきたと思います。
雇用環境を整え、相談窓口となり情報提供ができるような体制を整えつつ、社員一人ひとりに柔軟に関わっていくことで両立しやすい雇用環境に近づけたい、というのが考え方としては一番です。そのことが人材の確保や定着、組織力強化につながれば嬉しいことです。

治療と仕事の両立については私自身、看護師・保健師の資格をもちながら建設会社に就職をしたことで、専門職としての使命感や責任感が原動力の職種であることは理解できます。罹患した際、職務の遂行ができにくくなったと本人が考えると思いますが、会社としては早期治療、復帰を望んでいることを認識してもらいたいと考えています。そしてそれを示せるのは会社内のルール「就業規則」と捉え、佐賀産業保健総合支援センターから社会保険労務士・保健師(産業保健専門職)の全面協力をいただき「治療と仕事の両立支援規程(案)」を作成し運用に向けて調整しています。

貴事業場の仕事と治療の両立支援の具体的事例(実例・実績)をお聞かせください。

土木施工管理技士で現場代理人の経験も豊富にある社員の罹患でした。病状については医師の説明を本人から聞き取ることができ、治療の見通しを正確に伝えることができていた点は助かりました。一カ月ほどの入院後、現場の施工管理を2名体制で行うことにより負担を軽減し、経験と技術を発揮し役割を果たしました。
倦怠感や易感染状態にあるときは在宅勤務とし、書類整理やWEBでのセミナー受講ができました。ここから考えるのは、罹患した社員が(今回のような管理・監督ではなく)現場で作業をする者であればどうであっただろう、ということは今後の課題ともいえます。「現場で作業」を在宅での勤務にどう転換させていけるのか考えています。

社外資源の活用状況(産業保健総合支援センターやキャリアコンサルタントの活用、GLTD導入等)についてお聞かせください。

両立支援に取り組むきっかけになった社員の罹患があった際は就業規則も調えていないような状況でしたが、入院や通院で治療をし、仕事復帰もできました。しかし今回はできたことが、社員が違えば、あるいは時期が繁忙期であったら、果たしてできたのだろうかと不安が残っていました。
その時期に、佐賀産業保健総合支援センターの方よりタイミングよくお電話をいただきました。そこは産業医がいない弊社のような中小企業の手助けをして頂ける専門職集団でした。状況を伝え、仕事と治療の両立支援に向けての就業規程作成に着手するのに時間はかかりませんでした。情報提供を受けることができ、そこから保健師・社労士の先生に10回にわたり個別のアドバイスを頂けるというありがたい支援を受けることができました。

その他特記事項(研修等による意識啓発・労使の協力等)がございましたらお聞かせください。

就業規程のような決まりごとを作ることで少しでも雇用環境の改善につながればという思いがあります。就業規定を作るときに不可欠なのは労使のコミュニケーションと考えています。会社の思いを伝え、社員が言いにくいことこそ発言しやすいような共有の場を多く持ちたいと考えています。今回のような取組を会社が行うことで、社員の人生を大切にしたい、喜怒哀楽を共にしたい意向が伝わればと思います。
研修等による意識啓発としては、毎月1日開催の朝礼と、毎月第二金曜日の夕方に開催している安全衛生会議において、治療と仕事の両立支援についても度々研修を行っています。

今後の展望・課題をお聞かせください。

実際に社員が罹患した時にどう活用できるか考えています。今後は早期発見・早期治療の前の健康管理や病気予防の視点から、会社として関われることを探していきたいと思います。両立の支援はしていきますが「そもそも両立しないでよい」状況とすることに、会社としてどれだけ関われるかを考えています。

取組事例一覧