厚生労働省

治療と仕事の両立支援ナビ

両立支援の取組事例

主治医、企業・産業医等と、患者に寄り添う両立支援コーディネーターによる
トライアングル型サポート体制での両立支援

北海道大学病院

がん相談支援センター MSW(医療ソーシャルワーカー)
渋谷麻美氏

会社名
北海道大学病院
所在地
北海道札幌市
事業内容
医療機関
設立
1921年11月
従業員数
2,762名(令和4年1月1日現在)
平均年齢
38歳/男性4:女性6

北海道大学病院は2021年に設立100周年の節目を迎えました。 全身のあらゆる疾患を総合的に診療できる高次医療センター機能を有するとともに、教育・研究施設として患者さん第一の人間性豊で高度な医療技術を持つ医療人を育成し、生命医科学における新しい先進的医療技法の開発研究を行っています。がん相談支援センターに、両立支援コーディネーター研修を修了した相談支援員を専任で配置し、がんを発症した患者さんに対して診断時から早期にニーズを把握し、継続的に適切な情報提供や相談支援を日々行っています。

患者さんの仕事と治療の両立支援に取り組んだきっかけをお聞かせください。

腫瘍センター患者相談支援センターでは週1回の出張ハローワークによる就労支援をしていたところ、2018年7月に厚生労働省の治療と仕事の両立支援室の方が本院を訪問され、医療機関での両立支援に関する情報を提供して下さり、その重要性を理解しました。2019年11月に、医師1名、両立支援コーディネーター研修を修了したMSW1名で産業医科大学の両立支援外来を2日間にわたり見学し、院内の準備をし、2020年4月から本格的に取組を開始しました。

院内の両立支援体制をお聞かせください。

1)各科外来窓口
両立支援に関するポスターを掲示し、患者が外来看護師に相談することから開始します。科によっては、医師から直接がん相談支援センターに相談があります。
2)がん相談支援センター
種々の相談の一環として、両立支援に関する内容も受付けております。各科外来窓口からの連絡を受け、看護師やMSWが対応することもあります。多科に跨る調整が必要な場合などでは腫瘍センターの医師がサポートする場合もあります。

企業や産業保健スタッフ等との連携方法についてお聞かせください。

初回の問診時に患者さんの働く企業の窓口を確認し、適宜窓口担当者、直属の上司と連携させていただいています。

患者さんに院内の両立支援の取組をどのように周知されていますか?

院内のポスター、デジタルサイネージ、腫瘍センターのホームーページの他、毎年開催している腫瘍センターセミナー、広報誌、市民公開講座などでご紹介しています。

両立支援の実例・実績をお聞かせください。

療養・就労両立支援指導料を算定した患者さんは多くはありませんが、少しずつ院内で周知されてきています。がん患者さんの相談では、就労や治療と仕事の両立に関しては、相談全体の1割程度となっています。

今後の展望・課題をお聞かせください。

がん治療などが始まる前に動揺してすぐに離職してしまういわゆる「びっくり離職」を減らすには、各科外来で医師や看護師が両立支援に取り組むことが必要と感じており、意識の高い診療科を手始めにその方向を目指して活動し、これをMSWが支援する形を取っていきたいです。がん等の治療では、心理的負担だけでなく経済的な負担も大きく、患者さんの日常生活や健康行動、生活の質に影響を及ぼすことが分かっています。
治療に伴う心理的・経済的な負担の軽減のために、両立支援が重要であることを、卒前教育・卒後教育・専門医研修などで医療従事者にもっと真剣に伝える教育・研修を行うことが重要であり、まだそのような試みが少ないことが現在の課題であると思います。

取組事例一覧