厚生労働省

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両立支援シンポジウム/セミナー

岩手 治療と仕事の両立支援セミナー

<開催日時>
2019年12月16日(月)
13:30 - 15:40
<場所>
岩手教育会館(ホールA)
<主催>
厚生労働省
<共催>
岩手労働局
プログラム
時間
講義内容
13:30 〜 13:35
開会挨拶
岩手労働局局長 小鹿昌也
13:35 〜 14:15
基調講演
サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏
14:15 〜 14:25
休憩
14:25 〜 14:45
企業取組事例紹介①
株式会社小田島組 代表取締役社長 小田島直樹氏
14:45 〜 15:05
企業取組事例紹介②
株式会社北日本朝日航洋 代表取締役社長 岩尾哲二氏
15:05 〜 15:25
医療機関取組事例紹介
岩手医科大学附属病院 医療福祉相談室 室長
医療ソーシャルワーカー 近藤昭恵氏
15:25 〜 15:35
産業保健総合支援センターからのご案内
独立行政法人労働者健康安全機構 岩手産業保健総合支援センター
産業保健専門職 萩野とも子氏
15:35 〜 15:40
総括
サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏

基調講演

「治療と仕事の両立支援に向けて
~がんサバイバーの実体験や企業事例を交えて~」

サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏

 村本氏は2009年春、頸部食道がんを発症した。放射線治療により寛解したが2年後に再発。手術で食道上部の再建とともに、声帯を含む喉頭を全摘出したが、その後食道発声法を習得し、声を取り戻した。現在はその経験も踏まえ、同社の「治療と仕事の両立支援」に取り組んでいる。村本氏は、どんな企業でも自社の持ち味を活かしたやりようが必ずある!とし、治療と仕事の両立支援を進める際のポイントとして「本人との対話を大切にすること」「経営者の理解・応援・率先」「周囲の社員への配慮も忘れないこと」を踏まえながら、率直な対話と信頼関係で「社員の使命感を活かす」ことが大切であるとした。

各企業・医療機関の取組

「社員は会社の財産 小田島組の取組紹介」

株式会社小田島組 代表取締役社長 小田島直樹氏

 岩手県北上市に本社を置き従業員数114名の同社では、主に土木工事・舗装工事などの公共事業を行う。小田島氏は自社公式YouTubeチャンネルで一般公開している動画を紹介しながら「会社にとってお金よりも社員が財産。社員が健康であることがなによりも重要」と話す。治療と仕事の両立支援に向けた取組では、自宅で療養(治療)しながら働ける遠隔勤務(リモートワーク)の整備することや、柔軟な給与体系の整備することなどを通じて、治療をしながらでも仕事の質を維持したまま働き続けられる環境を構築している。最後に小田島氏は「まずは病気の予防が大切です。自分の会社は治療時の体制が万全だから、予防は不要であるというわけではありません。そしていつかは自分も病気になる可能性がありますので、両立支援を考える上では互助の精神も大切にしていきたいです」と締めくくった。

「個人に寄り添うオーダーメード! 北日本朝日航洋の取組紹介」

株式会社北日本朝日航洋 代表取締役社長 岩尾哲二氏

 従業員数約90名、測量業・建設コンサルタント業を行う同社では、企業理念に「従業員を豊か(幸せ)にする」を掲げ、ダイバーシティを経営軸に据えている。その一環として従来から育児・介護・治療と仕事の両立に関わる社内規定を改定し、社内教育・周知を実施。実際に従業員が大病を患ったケースを示し、「その方に適したオーダーメードの両立支援」を、産業保健総合支援センターなど外部資源も活用しながら行っていることを紹介した。制度面では有給休暇を積み立てできる「積立失効有給休暇制度」も整備しているが、こうした両立支援の取組を社員に周知する際には「病気になっても、相談することなく会社を辞めるという選択をしないでほしい」「治療しながらでも働ける会社である」ことを明言しているとし、今後も企業理念を実現すべく取組を進めていきたいと締めくくった。

「岩手医科大学附属病院の両立支援に関する取組」

岩手医科大学附属病院 医療福祉相談室 室長 医療ソーシャルワーカー 近藤昭恵氏

 同院では、患者サポートセンター内に医療福祉相談室を開設。同室は様々な病気の治療や療養で生じる社会的・経済的・心理的な問題等の相談窓口として機能しており、相談には近藤氏ら医療ソーシャルワーカーなどが応じている。治療方法の選択肢が多く、治療が長期にわたる乳がんの女性の事例について、近藤氏らは女性との面談の中で仕事内容・本人の希望を確認するとともに、主治医からは症状・治療などの情報収集を行い、勤務先の諸制度を踏まえた職場復帰プランの作成を支援したことを紹介。日々の相談対応を通して近藤氏は「医療機関に仕事の相談はできないと考えている人が多い」と現状の課題を指摘し、「今後はさらなる普及啓発を行いながら、患者さんと病院と企業が連携しやすい環境を作っていきたい。ぜひ、がん相談支援センター・医療福祉相談室を活用してほしい」と参加者へ呼び掛けた。

「岩手産業保健総合支援センターからのご案内」

独立行政法人労働者健康安全機構 岩手産業保健総合支援センター 産業保健専門職 萩野とも子氏

 同センターでは両立支援に関する取組として、相談対応、研修・セミナーの他、個別訪問支援(事業場・病院などでの両立支援を助言・支援)、個別調整支援(事業場での両立支援プラン作成を助言・支援)を実施していることを紹介。その上で、「両立支援に関することは、事業場の規模に関わらず、無料で全て相談できる」とし、一層の活用を呼び掛けた。

セミナー総括

 最後に、基調講演に登壇した村本氏が全体総括を行った。村本氏はこの日の講演を振り返った上で、「一人一人の社員と向かい合いながら支援すること」「会社として両立支援に取り組む基本方針を明文化し、しっかり社内周知すること」「自社だけでなく外部のリソースを活用すること」と、企業が両立支援を進める際のポイントを3点に整理し、セミナーを締めくくった。

(左から)岩手医科大学附属病院 医療福祉相談室 室長 医療ソーシャルワーカー 近藤昭恵氏、株式会社北日本朝日航洋 代表取締役社長 岩尾哲二氏、サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏、株式会社小田島組 代表取締役社長 小田島直樹氏、岩手産業保健総合支援センター 産業保健専門職 萩野とも子氏

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