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沖縄 治療と仕事の両立支援セミナー開催レポート


<開催日時>2019年11月26日(火)13:30 - 15:40
<場所>沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)
<主催>厚生労働省/沖縄労働局

プログラム

時間 講義内容
13:30 〜 13:35 開会挨拶
沖縄労働局長 福味 恵
13:35 〜 14:20 基調講演
ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ 統括産業医 岡原 伸太郎氏
14:20 〜 14:30 休憩
14:30 〜 14:50 企業取組事例紹介①
沖縄トヨペット株式会社 管理本部 総務課 高木 薫氏
14:50 〜 15:10 企業取組事例紹介②
日本トランスオーシャン航空株式会社 人財部
勤労グループ チーフマネージャー 外間 司氏
15:10 〜 15:30 医療機関取組事例紹介
琉球大学医学部附属病院 がんセンター長 診療教授 増田 昌人氏
15:30 〜 15:40 産業保健総合支援センターからのご案内
沖縄産業保健総合支援センター 保健師 千葉 千尋氏
15:40 閉会


基調講演


「治療と仕事の両立支援の進め方」

ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人グループ Global Health Services/健康管理室 統括産業医 岡原 伸太郎氏
 突然大きなけがや病気に見舞われると、十分な情報が得られないまま先々の仕事や家庭のことなどが頭をよぎり、どうしてよいのか分からずに仕事を辞めてしまうケースは少なくない。岡原氏は「一人で悩むのではなく、『まずは相談』を企業の基本的な文化にしてほしい」と呼び掛ける。その上で「従業員、会社、主治医や医療機関という3者間の情報共有が必須」と、当事者である従業員を孤立させない体制の重要さを説く。さらに、情報共有において「当事者と関係者が要望(Want)とすべきこと(Should)、そして今できること(Can)をすり合わせ、互いに納得の上で進めることが大切」とした。また最後に、「制度を整えることはもちろん必要。ただ、制度は万能ではなく、公正性と柔軟性の間に矛盾を生じることもあります。それを関係者がいかにすり合わせるかが重要」と、両立支援にはフレキシブルな対応が欠かせないことを改めて説明した。

各企業・医療機関の取り組み


「治療と仕事の両立 事例紹介」

沖縄トヨペット株式会社 管理本部 総務課 高木 薫氏
 トヨタ系の自動車販売会社である同社が両立支援に取り組むきっかけとなったのは、中途採用で入社後に大病を患い、さらに1年半後に若年性アルツハイマー病と診断された男性社員の存在からだった。「仕事を続けたい」という意思があった本人より、障害者職業総合センターに支援を依頼し、職業復帰支援プログラムを実施。復帰の目処が立った後、本人と家族、沖縄障害者職業センター、会社関係者の間で職場復帰の話し合いを行ったという。会社では、当該社員の病状に合わせた勤務場所・勤務形態の提案の一方、協力者には病気への理解を深めるための勉強会(認知症サポーター養成講座)も行った。こうした経験から、「治療を最優先」「本人の意思を尊重」「一人一人に寄り添った柔軟な対応」とする同社の両立支援の基本姿勢が確立されたと高木氏は振り返り、今後もこの方針を大切にしながら対応していきたいと締めくくった。

「治療と仕事の両立支援について」

日本トランスオーシャン航空株式会社 人財部 勤労グループ チーフマネージャー 外間 司氏
 沖縄を起点とする航空会社の同社では、傷病を抱える社員が安心して相談できるよう、本人からの申し出を原則とし、所属長・保健師・産業医・人事労務担当者が連携を図る両立支援の体制を整えている。また、勤務制度・休職制度は、両立支援の際には10〜15時をコアタイムとした時差出勤(フレックス勤務)、2018年から導入した在宅勤務(テレワーク)の他、短時間勤務、病気休職などの既存制度適用を推奨。外間氏は、現在行われている治療から業務復帰までの流れを改めて整理し、傷病を抱える社員の両立支援の取組を継続するとともに、産業保健総合支援センター・医療機関との連携の在り方についても検討していきたいと展望を語った。

「琉球大学医学部附属病院がんセンターにおける取組紹介」

琉球大学医学部附属病院がんセンター長 診療教授 増田 昌人氏
 増田氏からは、同院がん相談支援センターの就労支援事業と相談体制が説明された。増田氏は、がんにおける支援の実状として「患者本人への周知・希望のヒアリングが不十分」と指摘。専門家の立場から医療者側におけるいくつかの問題点を挙げるとともに、患者側・事業者側での問題として「心理的要因による患者自身のためらいや事業者側からの辞退」「事業所における支援体制・相談窓口の周知不足」があると話す。さらに、事業所・産業医との連携体制強化が必要とし、「医療機関の中に医師以外の医療関係者が患者の仕事などにまつわる社会的課題について聞き取るシステムを構築し、企業にも担当者が患者本人に就労に関する希望などをヒアリングするシステムが望まれる」と呼び掛けた。

「治療と仕事の両立支援 〜誰もが生き生きと働く職場つくりのために〜」

沖縄産業保健総合支援センター 保健師 千葉 千尋氏
 千葉氏は、沖縄県の産業保健の概況に触れ「50人未満の小規模事業場が多い」「職場の健康診断による有所見率が8年連続ワースト1」といった特徴を挙げた。そうした環境下における両立支援の状況について、同センターが県内の小規模事業所500カ所に対して行ったアンケートでは、社内に1カ月以上連続して休職している従業員がいる企業が全体の56%でありながら、両立支援に対する認知が低い(両立支援について「知らない」が全体の78%)ことを説明した。その上でセンターでは、研修や事業者への啓発セミナー開催、両立支援促進員による労働者・事業者からの相談対応、事業場への「個別訪問支援」、実際に両立支援を行う際の「個別調整支援」など、両立支援に全域で関わる活動を行っていることを改めて説明し、無料で利用できるので、ぜひ活用して欲しいと呼び掛けた。
©Ministry of Health, Labour and Welfare