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鳥取 治療と仕事の両立支援セミナー開催レポート


<開催日時>2019年10月28日(月)13:30 - 15:55
<場所>米子コンベンションセンター/会議棟第7会議室
<主催>厚生労働省/鳥取労働局

プログラム

時間 講義内容
13:30 〜 13:35 開会挨拶
鳥取労働局長 丸山陽一
13:35 〜 14:15 基調講演
サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏
14:15 〜 14:25 休憩
14:25 〜 14:45 鳥取産業保健総合支援センターからの案内
鳥取産業保健総合支援センター 副所長 野口聡氏
14:45 〜 15:05 医療機関取組事例紹介①
鳥取大学医学部附属病院 がんセンター 講師 大山賢治氏
15:05 〜 15:25 医療機関取組事例紹介②
山陰労災病院 治療就労両立支援部 医療ソーシャルワーカー 松ヶ野恵氏
15:25 〜 15:45 企業取組事例紹介
株式会社エナテクス 専務取締役 宮本博文氏
          総務部 総務課 課長 坂元恵氏
15:45 〜 15:55 総括
サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏


基調講演


「治療と仕事の両立支援に向けて~がんサバイバーの実体験や企業事例を交えて~」

サッポロビール株式会社 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏
 村本氏は2009年春、頸部食道がんを発症。放射線治療により寛解したが2年後に再発。手術で食道上部の再建とともに、声帯を含む喉頭を全摘出したが、その後食道発声法を習得し、声を取り戻した。現在はその経験も踏まえ、同社の「治療と仕事の両立支援」に取り組んでいる。村本氏は、どんな企業でも自社の持ち味を活かしたやりようが必ずある!とし、治療と仕事の両立支援を進める際のポイントとして「本人との対話を大切にすること」「経営者の理解・応援・率先」「周囲の社員への配慮も忘れないこと」を踏まえながら、率直な対話と信頼関係で「社員の使命感を活かす」ことが大切であるとした。

各企業・医療機関の取り組み


「治療と仕事の両立支援~事業(サービス)の紹介~」

独立行政法人 労働者健康安全機構 鳥取産業保健総合支援センター 副所長 野口聡氏
 産業医・産業看護職・衛生管理者などの産業保健関係者を支援するとともに、事業主などに対して職場の健康管理に関する啓発を行う産業保健総合支援センターは「治療と仕事の両立支援においては専門的相談の対応、個別訪問支援、個別調整支援、啓発セミナーなどの仕組みを用意している」と、取り組みを紹介する。中でも個別訪問支援と個別調整支援については、両立支援促進員が企業を訪問して両立支援の体制づくりから具体的な助言を行ったり、患者である従業員本人との面談の上、中立的立場から就業上の措置などに関する助言・プラン策定支援を行ったりすることで、心強い相談窓口となっていることを強調した。

「鳥取大学における治療と仕事の両立支援」

鳥取大学医学部附属病院がんセンター 大山賢治氏
 大山氏は、専門医の立場から鳥取大学における両立支援の取り組みを報告した。同氏は、「医師として、初診時から仕事を含む生活全般の把握に努め、心配ごとなどあれば相談支援センターなど専門家への面談を勧める」ことを心がけていると説明。一方で「患者の就労状況を直接見てはいないため、意見を言うことを躊躇する場合もある」と課題を挙げ、両立支援には「医療者と職場の情報共有が不可欠である」と説明。最後に来場者に向け「職場は、がんになったら戦力外と考えず、本人の就労力を正確に評価し、本人の状態を把握した上で無理なく働ける対応を検討してほしい」と呼び掛けた。

「治療と就労の両立支援について~脳卒中の事例を通して~」

独立行政法人 労働者健康安全機構 山陰労災病院 治療就労両立支援部 医療ソーシャルワーカー 松ケ野恵氏
 主治医・看護師・医療ソーシャルワーカーなどを中心に、チームで患者及び企業への支援を行っている同院。企業との連携に関しては、必要に応じて医療機関から企業へ訪問して、病気の特性や就業上の注意事項を情報提供したり、職場環境や作業内容を把握しており、こうした取組は両立支援の方向性を明確にできるメリットがあると説明。最後に、両立支援を進める際、医療機関には患者(労働者)のみならず企業をバックアップする役割もあるとし、今後も連携を図っていきたいと締めくくった。

「治療と仕事の両立 事例紹介」

株式会社エナテクス 専務取締役 宮本博文氏、総務課 課長 坂元恵氏
 従業員数38名、電気設備工事業を営む同社は、治療と仕事の両立方針として、「まずは治療を最優先」「本人の意思を尊重する」「一人ひとりに寄り添った柔軟な対応をする」の3点をあげ、相談しやすい雰囲気作りに努めていると説明。入院など休職が必要な場合は、年次有給休暇や健康保険傷病手当金などの制度を踏まえて対応を検討。継続治療が必要な場合も、短時間勤務制度や30分間単位での有給休暇取得、テレワーク制度も活用可能としていることを発表した。「会社にとって社員一人一人が大切な存在であり、必要とされている環境で生き生きと活躍できる、そんな職場づくりを目指している」と坂元氏。一方の宮本氏は、自らのがん治療の経験から「一番心配したのは仕事のこと。診断されてから現在まで、会社にフレキシブルな勤務体系・制度が整っていたことや従来からチームで対応する環境があり、安心して治療に専念できたことが、なによりの薬になった」と語った。また「心の健康は働き方の質に大きく影響するため、誰かに相談することも大事。まずは本人の話を聞いて欲しい。」と締めくくった。

セミナー総括

 取り組み事例発表の後には、サッポロビールの村本氏が再び登壇。「支援に恵まれた会社にいても孤独感がある。そんな時、社員とのさりげないコミュニケーションが支えになる。本日、紹介があった取り組みを踏まえると『社員を大切にしていること』そして『外部のリソースが大事であること』の2点が、両立支援に欠かせない要素であると再認識できた」と総括した。

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